許嫁を迎えに行きます (ページ9)

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『聞かない方がいんじゃないですか？』

「どーして？」

『てか、なんできくの？』

「なんでって家出したとか心配だわ」

『私に興味とかなかったのに。どうしました？』

見透かされてた。

そりゃ、そうかって感じだけど

今興味が出たんだから仕方ない。

『まー別にいいーですけど。』

『ピアノ捨てられたんです』

「ピアノ…。特技って、習ってたんだよね」

『はい。弾いてたら、勉強しろっていわれて』

『だからいま反抗期中なんです』

そう言って下を見ながら苦笑い。

薄暗い光に照らされてまつ毛が光って見えた。

泣いてる？

「帰りたくないの？」

『帰りたくない』

「俺ん家くる？」

『え…』

「って言っても実家だけどね」

『でも…』

「許嫁の家泊まるくらい怒んないでしょ」

静まりかえる公園で

街灯のカチカチって音だけが鳴り響く。

『お邪魔してもいいですか？』

「いいですよ。」

2人で立ち上がって公園を後にした。

家に帰ると母親はびっくりしていて

母さんが洋服を貸して

とりあえずAを風呂に入れた。

母さんが向こうの親に電話して

今日はこっちに泊まることになった。

母「仲良くやってるみたいでよかったわ」

「なにが？」

母「探しても見つからなくて警察に連絡するとこだったって
　なのにすぐ見つけてきたから、仲良くしてんでしょ？」

「まー」

一年以上前にあの紙をもらったから

わかっただけ。

それだけ。

なんて、言えなかった。

しばらくすると

Aが上がってきて母と話してる。

いつも大人びてる彼女だけど

髪が濡れてAより少し大きい

母親の服を着たAは少し幼く見えた。

なんか少し恥ずかしくなって

2人を残して自室にむかった。

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