許嫁を迎えに行きます (ページ38)

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はじめて自分の気持ちを口にした。

口にしたら止まらなくなりそうだから

あえて言わないようにしていたのに。

　

『すき？』

「うん。すきだよ」

『私が病院継いでくれるから？』

「違うよ」

そりゃそーなるのか…

俺とAは許嫁で出会いはそこ。

彼女にとって俺の第一印象はクソだろう。

第一印象どころか、

その後も一切連絡を取らずに

年始の挨拶すら顔を出さず

誕生日すら忘れていて

祝われても適当にあしらった。

そんな男、好きになるわけないよな。

『無理して好きとか言わなくていいよ』

「なんで無理してるって思うの？」

『大学卒業したらちゃんと継ぐし
　北斗君と結婚するし浮気もしない』

「そうじゃないよ。ちゃんとすきなんだよ」

『どこが？釣り合わないよ』

釣り合わないって、何言ってるの？

俺の方がつりあわねーだろ。

釣り合わないというか、

俺がちゃんと好きになっていい子なのかな

って考えちゃうくらいだ。

「なにいってんの」

『今年落ちてるかもよ。』

「そんなのどっちでもいいよ」

『よくない。許嫁失格だよ』

「許嫁だからAを好きになったんじゃねーって」

確かにAとの出会いのきっかけは

結婚の話があったからだけど

好きという感情は"A自身"を知ってから。

『嫌なとこしかないから、わたしなんてやめた方がいいよ』

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