許嫁を迎えに行きます (ページ22)

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それから月に2回のペースでAが
うちに泊まりに来るようになった。

でも、俺の母親と話してることの方が多い。

たまーに俺の部屋に来て
一緒に勉強してちょっとしたら休憩してってそんな感じ。

「休憩ばっか」

『いいじゃんガス抜きに来てるんだから』

「いいけどさ〜」

それを言われたら仕方ないけど

　
『そういえば受験終わったらどこ行く？』

「なにが？」

『え、旅行』

「なんのはなし？」

『ジージーズに聞いてないの？』

「くそださいネーミングだな」

ジージーズなんてダサいネーミングは
とりあえず置いておこう。

『ジージーズから連絡来てないの？』

「なんも」

『え、この数年ずっと？』

「一度もない」

『へぇー』

苦笑いしてちょっと重い顔で
シャーペンを握りしめた。

Aのジージーズには
俺のお爺ちゃんも入ってると思う。

「連絡来てるの？」

『あの日から週1で2人とも送ってくるよ』

「まじで」

『受験受かったら2人で旅行だから場所決めとけって』

「2人だけなの？」

『たぶんねーあなたのお爺ちゃまから来ましたよ』

「あ、俺のお爺ちゃまから来ましたか」

俺とは全く連絡取らないのにAには
連絡してるんかいって思いながら

変な内容が送られてないか少し心配になる。

この3年間、わりと好きなようにやってきたけど
それはこの子の犠牲のもとで成り立ってる
ことを実感した。

『いいお爺ちゃんだね』

「そーでもないだろ」

『孫じゃないのに気にかけてくれてるし』

「意味ありだけどなー」

『考えないようにしてんだから言わないで』

「ごめんごめん」

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時間は深夜、ベッドの中

俺の知らないところで繰り広げられてる
後継問題を全部背負わせてしまっていることに
はじめて罪悪感を感じた。

下を見れば、布団の中で丸く

くるまってて頭だけがみえる。

彼女が何を考えていて何を思っているのか

わからないけど、ただ彼女のために何かしないとって…

その小さな身体で大きなものを

背負っていることの凄さと

背負わせてしまった申し訳なさで

ただ彼女を力一杯抱きしめたい。

そう思った。

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