許嫁を迎えに行きます (ページ16)

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朝起きたらベッドには誰もいなかった。

リビングに行けばお母さんと、北斗くん。

『おはようございます。』

母「おはよう、ご飯食べる？」

『ありがとうございます。』

北斗「座れば」

『ありがとうございます』

今日、学校は休みの日

塾はある。

正直行きたくない。

でも、行かなきゃいけない。

そんなことを頭の中で考えていた。

母「Aちゃん」

『はい』

母「Aちゃんママから連絡あって
　今日は塾にお休みって連絡しとくって」

『そーなんだ…。ありがとうございます』

ママが…

びっくり。
帰らなかったことがそんなにショックだったのか。
　

母「今日おばさんも休みだから家でゆっくりしよう」

『ありがとうございます』

北斗くんはお仕事らしくて

家には2人きり。

帰りたくなくて北斗くんのお母さんと

たくさんいろんな話をした。

　
正直こんな機会がないとこんなに話すことも

なかったと思う。

　

帰ります。って

家に帰る前、仲良くなった北斗くんのお母さん

母「ごめんね。Aちゃん」

申し訳なさそうにそう呟いた。

『なにがですか？』

気にしてないよって言ったら嘘になるけど

でも北斗くんのお母さんいい人だし

なんでか全然憎めない。

安心して欲しくてちょっとだけ笑って

すっとぼけた

母「なんでも言ってね。できることはなんでもするから」

そりゃこの人の罪悪感もまた計り知れないだろうな

なんてちょっと他人事用に考えちゃう。

『またきてもいいですか？』

母「うん。いつでもおいで」

『ありがとうございます。』

北斗くんの家を出て自分の家に帰る。

家を出てはじめてわかったこともあった。

それだけでもよかった。

ピアノのことは許せないけど…

『ただいま』

こうして私のはじめての家出は幕を閉じた。

※Aちゃんのお母さん→ママ
北斗くんのお母さん→母
で区別してかきます。

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