最後の審判【名探偵コナン】

二日後　予定変更 ページ45

警察署を出て少し歩いたところで、スマホが鳴った。

…私のスマホが返ってくる見込みがないということで、なんと二台持ちの母が一つ譲ってくれたのだ。元々仕事用とプライベート用で持っていた母は、プライベート用を軽く私に渡した。
途中から連絡先を分けるのが面倒になったらしく、二台持ちの意味がほぼないらしい。

　
表示を見ると、"毛利探偵事務所"。あれ、何かあったのかな…？

「もしもし、高田です」

『あっ、どうも毛利です。えー…いきなりで大っ変申し訳ないのですが、約束を今日の午後に変更できたり…』

「ああ、全然大丈夫ですよ！」

今日はもうこのまま家に帰るつもりだった。午後からならば、菓子折を家に取りに行く時間もあるだろう。

『明日どうしても外せない予定が入って…』

「私が伺いたいって言ったんですから！」

申し訳なさそうにする毛利さんをなだめて、電話を切った。

すごく有名だからなあ…依頼とか大量なんだろうなあ…
通話が終わってからそんなことを考える。

とりあえず、一度家に帰らなければ。

　
　
家をもう一度出て、最寄り駅に到着して、母に持たされた地図を見る。今はスマホで検索すれば一発でわかるが、折角渡してくれたのだし使うことにした。…が、ちょっと見づらい。家と探偵事務所が一枚の紙に描かれているので、字が細かいのだ。

電車使うのに何で同じ紙なの、というか家から駅の地図はいらないでしょ、ととても文句を言いたい。電話をかけたいくらい。
　
心の中で悪態をつきながら、もう一度地図に目を落とした。こ、細かすぎ…
視力が悪い私だが、今日はコンタクトをつけていない。仕方なく眼鏡をかけることにした。

…今朝は緊張しすぎていろいろ忘れていた。コンタクトの付け忘れだってそうだし、髪を結び忘れもそう。

地図を眺めながら歩いていると、強い風が胸まである髪を激しく揺らした。
ああ、鬱陶しい…！

「…というか、髪を結び忘れるって何だよ…！！」

つい小さく呟いてしまった。まあ、今近くにいるのは猫くらいだ。誰かに聞かれる心配はない…はず。

今更もう結ぶ気も起きない。朝の出来事でもう疲れたんだ私は。
でも正直、あれって現実だったの…？という疑問が私の中にある。そしてもし現実ならば、連絡先を交換し忘れたことにものすごく後悔。

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