二日後 伝わる ページ44
…文句を言いに来たのになあ。今の状況、文句以上に迷惑だろうなあ…
顔を上げられずに黙り込んでいると、急に何かに包まれ、左肩に重みを感じた。
何かと思って反射的に左肩を見ると、降谷の頭が置かれていた。
で、さらに詳しい状況を簡単に説明してみると、降谷の腕の中にいた。つまり、抱きしめられていた。近い、すごく近い。
なっ何事…!?正直、ついさっき自分が気持ちを伝えたときよりも恥ずかしい。
どうしたの、と言う前に降谷が先に口を開いた。
「本当に、待つつもりですか。いつ終わるかわからないんですよ」
話しながら次第に腕の力が強くなっていく。
「…説得力が、全くない」
小さく呟いた言葉は届いただろうか。いや、この距離なら今までで言えなかったことが何でも伝わりそうだ。
左手を肩の方に伸ばして、降谷の髪に触れた。そのまま頭の上に手を置く。
「…僕だって、離したくないですよ。でも、それじゃあ僕の言葉が高田さんを縛る」
「…縛れよ。縛らなきゃ離れるぞ」
私の言葉に、ほんの少し黙ったかと思うと、くすりと笑った。
「この前まで"親友として好き"、というのを強調してた人とは思えませんね」
「ううう、話を逸らさないで!」
言って欲しいことをまだ私は聞いていない。その言葉を聞いてこそ、堂々と待てるのだ。
ふと、降谷が顔を上げ肩の重みがなくなる。そのままおでこをくっつけられて、私の目を真っ直ぐに見て一言。
「じゃあ…僕も大好きだから待っていてください」
「あああああ待ちます待ちますけど近すぎるってことわかってますか!?ねえ!!」
もう恥ずかしすぎて降谷の胸に頭を押しつけた。そうするしかなかった。本当に。
「何だか今日は好き勝手言われた気がするので、つい」
見なくてもわかる。今の降谷はしてやったり顔をしてる。
「…顔を上げてください」
言われたとおりにするのは何か癪だが、つい従ってしまう。
すると、上げた顔…正しくは両目に手のひらを置かれて目隠しをされた。
「え、ちょっ…」
前が見えなくてじたばたしていると、唇にかすかな感触。
何が起こったのか一瞬で把握した私は、動けなくなる。
当の本人はというと、私の頭にポン、と軽く手を乗せて
「では、そろそろ時間切れですね」
とさらりと部屋を出て行こうとしていた。
「ちょっと待った!私の本来の目的!」
去って行く降谷に飛びつき、
「この前は助けてくれてありがとうございました!!」
そう、届くように叫んだ。
71人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» いつも本当にありがとうございます!これからはまた前のようなペースでやっていきたいと思います、よろしくお願いします! (2016年6月30日 0時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - お久しぶりですね。他の方たちもぱったりと更新されなくて寂しかったんですよ。有難う御座いますと此れからも宜しくお願いします。 (2016年6月28日 23時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» 安室さんがこんな感じだったらいいなあという私得な展開でした...!そう言っていただけてよかったです! (2016年6月12日 23時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 安室さんカワ(・∀・)イイ!! (2016年6月12日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - 106さん» コメントありがとうございます!そんなことを言っていただきうれしいです!がんばります! (2016年6月12日 0時) (レス) id: ab8133160c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かまぼこ板 | 作成日時:2016年5月21日 23時