検索窓
今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:57,883 hit

二日前 違和感の正体 ページ29

「でもその時、真っ暗だったのでしょう?はっきりと高田さんだとわかるものですか?」

「はい、それは言えます!」

「でも話によると、その時の高田さんの特徴と言えるものはない。どうして高田さんだと?」

さて、どうくるのか。
感覚からすると、この人は確実に何か隠している。
それがはっきりとわかるような何かがあれば…

「高田さんの…時計を見たんです」

「時計?それが彼女のものだと知っていたのですか?」

「はい、前からいいなって思っていたんです」

言い切ったからなのか、すっきりとした顔で答えた。
その態度で確信した。この証言は彼女のでっち上げだと。何かを理由に、高田さんの目撃情報を流し本当の犯人を庇っている。
その犯人が彼女自身なのか他に誰かいるのかはまだよくわからない。

「文字盤の淵はピンクでベルトは紺色でとても可愛くて…」

詳しく時計の仕様を説明してくれたが、それがどんなものであるかはよく知っている。
…昨日の話から時計を持ち出されることは念頭に置いていたが、実際自分が贈ったものが使われるとは思っていなかった。

贈ったことを少し後悔しそうになったが、そんな考え方は高田さんが許すはずがない。慰められるどころか、説教をされるだろう。

だから。だから考えろ。所詮は虚言なのだ。どこかに必ず穴があるはず。

暗闇、スマホのライト、時計…
何かが引っかかるのだがそれがわからない。

“前からいいなって…”“文字盤の淵はピンクでベルトは紺色”…
 

「…なるほど」

違和感の正体がわかった。

相手は、唐突に呟いた僕に探るような視線を向けた。
 

「…彼女がいつもつけていた時計と全く同じだった、と捉えていいんですよね?」

「はい、そうです…」

「では、暗闇でスマホの光ごときで、あなたはどうやって紺色であると判断できたのでしょう?」

もし白いベルトであった、というなら判断はできるかもしれない。しかし、紺色となるとその状況ではきっと黒に見えるだろう。

ピンク、もそうだ。金属製だった文字盤の淵は、光に反射して色は判別できないはず。
 
 

「あっ…!あああ…!」

僕の言いたいことがわかったのか、武上さんはその場に崩れ落ちた。

二日前 事実は→←二日前 対峙



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
71人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» いつも本当にありがとうございます!これからはまた前のようなペースでやっていきたいと思います、よろしくお願いします! (2016年6月30日 0時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - お久しぶりですね。他の方たちもぱったりと更新されなくて寂しかったんですよ。有難う御座いますと此れからも宜しくお願いします。 (2016年6月28日 23時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» 安室さんがこんな感じだったらいいなあという私得な展開でした...!そう言っていただけてよかったです! (2016年6月12日 23時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 安室さんカワ(・∀・)イイ!! (2016年6月12日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - 106さん» コメントありがとうございます!そんなことを言っていただきうれしいです!がんばります! (2016年6月12日 0時) (レス) id: ab8133160c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かまぼこ板 | 作成日時:2016年5月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。