最後の審判【名探偵コナン】

二日前　対峙 ページ28

今日、また彼女の会社の前まで来ていた。

武上さんは出勤しているらしい。
自動ドアが開くと、受付のスペースに立っている女性が一人見えた。
念のためもう一度、森川さんから送ってもらった写真で確認すると、同一人物のようだった。

話をする前に少し落ち着こうと深呼吸をすると、何故か高田さんの顔が浮かぶ。
…そのまま昨日の会話を思い出してしまったのは、本当に間違いだった。
間違いと言っても無意識だから仕方ないかもしれない。彼女も無意識のようだったが、無意識とは怖いものだ。

つい一人で照れてしまったのが恥ずかしすぎて、今なら穴がなくともセルフで掘って入りたい。

…落ち着こうと思っていたというのに逆効果じゃないか。

そのまま恥ずかしさを胸に、武上さんに声をかけることにした。

「すみません。武上さんで合っていますか？」

「ええ、そうですけど…確かこの間の方ですね？」

どうして自分の名前を？とでも思っているのか、少し不思議そうな顔をしている。

「はい。実は僕、先日ここであった事件の調査をしているんです」

瞬間、彼女はわかりやすく顔を歪めた。
普段、受付という表情が重要な仕事をしているからか、すぐに元の笑顔に戻せたようだ。が、さっきの顔は流石に誤魔化せない。

ポケットの中の機械を起動した。


「…どうかされました？」

「い、いえ！もう犯人は捕まって、裁判はもうすぐでしょう？どうして今なのか疑問に思って…」

「ああ、色々と説明できないことが出てきまして」

少し落ち着いたのか、相手はニコニコと笑って話を聞く体制に入っている。

「武上さん。あなたは事件があったとき、ここにいたと聞きましたが？」

「はい、そうです」

「その時のことを詳しく聞かせてください」

少し暗い表情になり、話し始めた。
この雰囲気が演技かどうかはよくわからない。

武上さんの話は殆ど高田さんのものと同じだった。

帰宅の準備をしていると、突然停電が起こった。そして慌てているうちに悲鳴が響く。
人の気配がしたからスマホの画面をその方向に向けると、高田さんだった、と。

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