三日前 代わりに ページ27
「それは、たまたまつけていたのですか？」
「いや、私最近は身につけているんだよ」
そう言うと、降谷はまた不思議そうな顔。
私が時計をつけていることがそこまで意外か。
「そうですか...では、どんな時計ですか？」
「そうだなあ。ベルトは紺色。文字盤の周りは金属でピンク」
デザインがとても気に入っていたんだよ、と降谷の目を見て付け足す。
「それって...」
「うん、降谷に貰ったやつ」
入社祝いだったか。もう何年も前のものだった。
見られないようにとすぐに真顔に戻ったが、少し笑っていたのを私は見逃さなかった。
...ふふん、嬉しいんだ。
「特に言うべきことはもう無いかな」
でもそれなら、怪しいのは時計ってことになるなあ。
「...時計、つけていたんですね」
つけ始めた理由がわからないから、やはり納得がいかないのだろう。
「うん、君がいなくなってからね」
理由にはなっていないかもしれないが、一応はっきり言ったつもり。つもり、だから今降谷が更に不思議そうに首を傾けていても仕方が無い。
降谷がいなくなってから、降谷に貰ったあの時計を失うのがとても怖くなった。これを失くしてしまったら、もう降谷は帰ってこなくなってしまうんじゃないかと。
針時計は人の体温に触れていないと止まりやすくなる、というのも一つの理由だった。止まった時、降谷との繋がりが絶たれるのではないかと嫌な想像をした。
「私にしては結構ずっと身につけてたんだよね」
入浴時と寝ている時以外は離さなかった。
「...鬱陶しくなかったんですか」
全然、と頭を振って机のようなスペースに突っ伏した。
「今となっては恋しいくらいだよ」
流石にここに入る時に外すように言われてしまった。あれからかなりの時間が経ったが、なかなか寂しい。
「そんなにですか...」
「...まあ、あの時計は降谷そのもののようなものだから」
よいしょ、と伸びをしながら顔を上げる。
すると、口元を手で押さえて俯いてる降谷が目に入った。
「え、私何か変なこと...」
...ちょっと待て。少し自分の発言を遡ってみよう。
“恋しいくらいだよ”、“降谷そのもの...”。
「ちょっ、ちょっと一回思考を止めろ！！それか記憶を消せ！！ただの例えだからああああ！！」
私の心からの叫びも空しく、
「高田さん、そんなに寂しかったんですね...」
嫌な笑みを浮かべながらそんな一言を放った。
...さっき照れているように見えたのは気のせいだったようだ。
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かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» いつも本当にありがとうございます！これからはまた前のようなペースでやっていきたいと思います、よろしくお願いします！ (2016年6月30日 0時) (
レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - お久しぶりですね。他の方たちもぱったりと更新されなくて寂しかったんですよ。有難う御座いますと此れからも宜しくお願いします。 (2016年6月28日 23時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» 安室さんがこんな感じだったらいいなあという私得な展開でした...！そう言っていただけてよかったです！ (2016年6月12日 23時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 安室さんｶﾜ(・∀・)ｲｲ!! (2016年6月12日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - １０６さん» コメントありがとうございます！そんなことを言っていただきうれしいです！がんばります！ (2016年6月12日 0時) (レス) id: ab8133160c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かまぼこ板 | 作成日時：2016年5月21日 23時
