約十二年前 きっかけ ページ20
昔から、自分の意思に反して流れる涙が嫌いだった。
どんなに我慢しても堪えることができないで、できたとしてもふとした時に流れてきたり。一人になったら特に。
12年ほど前のあの日も私はそんなことを考えていたことを、今でも鮮明に思い出せるのであった。
その日は朝から雨が降っていた。放課後に予定している用事を済ませるには少し不都合ではあったが、小雨であったし特に気にしてはいなかった。
実際に放課後、母との待ち合わせの時間まで教室で平然と読書をしていられるほど落ち着いていた。
しかし、自分の冷静さに逆に不信感を覚えていたのも事実。去年の今日は、それどころじゃあなかったから。朝から気分が沈んで、目的地まで辿り着いたけれど少し泣いてしまって。
父の死から二年。二年も経てばこんなものなのだろうか。
ふと窓の外を見ると、まだ完全に春になっていなくてこの天気だからだろう、思ったより暗くなっていた。
早めに母との待ち合わせの場所である墓についておこうと、少し早いがトイレに立った。
他の教室にも誰一人いないようで、部活の掛け声のみが外で響いている。
これくらいの雨だったら外の練習もあるんだなあ。
トイレを済ませて、廊下に出て少し歩いた後のこと。
きっかけは何だったのか今でも全くわからない。
突然、父の笑顔が心に浮かんだ。それと同時に涙が滲む。
ああ、何なんだ。全然落ち着いてなんかいないじゃないか。寧ろ酷くなっている。
去年は墓の前で泣いた。今日は辿り着けてさえいない。
去年は涙は少しだった。今日はどんどん溢れて止まらない。
ついに立っていられなくなった私はそのまま廊下に座り込んでしまった。
こんな姿父さんが見たら、はしたないぞって言われるなあ。
現在の状況まで父に繋がって、もうどうしようもなくなった時だった。
「あれ...高田さん、でしたっけ?」
彼が、現れたのは。
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かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» いつも本当にありがとうございます!これからはまた前のようなペースでやっていきたいと思います、よろしくお願いします! (2016年6月30日 0時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - お久しぶりですね。他の方たちもぱったりと更新されなくて寂しかったんですよ。有難う御座いますと此れからも宜しくお願いします。 (2016年6月28日 23時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» 安室さんがこんな感じだったらいいなあという私得な展開でした...!そう言っていただけてよかったです! (2016年6月12日 23時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 安室さんカワ(・∀・)イイ!! (2016年6月12日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - 106さん» コメントありがとうございます!そんなことを言っていただきうれしいです!がんばります! (2016年6月12日 0時) (レス) id: ab8133160c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこ板 | 作成日時:2016年5月21日 23時