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六日前 今のうちに ページ19

「ああ、もう...」

私が心の中で思った言葉と全く同じことを呟いて、降谷は袖を持った手を伸ばす。

そのまま私に向かってくると思われた手。だが今、私たちの間には隔たりがあるわけで。
ゴツン、と鈍い音を立てて透明な板にぶつかった。
 

「...え、ちょっと待って。今一体何が起きたの?...ははっ、何か笑いが」

今の一部始終を見たことによって、涙はいつの間にか止まっていた。
それに今まで気持ちが沈んでいた分、逆に笑いが止まらなくなってきた。

降谷というと、恥ずかしそうに自分のぶつけたほうの右手を見つめている。

それがまたおかしくて。何かしてくれようとしてくれていた人に対して、失礼なのは十分わかっている。

「...まあ、高田さんが笑ったからよかったということにしておきましょうか」
 

セリフだけ聞けば優しいこと言っているように思えるが、ああ、人は相手の感情のほとんどを表情から受け取っているとは確かだな。
コイツいつまで笑ってやがる、くらいの感情を私は表情から受け取ることが出来ました。
 

「あはっいやその顔絶対思ってないよ!」

で、何しようとしたのかな?

自分を少し落ち着かせて尋ねる。

「...なかったことにしてください」

「いやあ、納得できないね」

ふふん、今度こそ反撃のチャンスと見た。
 

「痛そうだねえ、右手」
 

私がわざと問い詰めていることにはとっくに気づいているようで、ものすごい目つきで右斜め下を睨んでいる。恐怖。
その視線が私に向けられていなくて本当によかった。


「板の汚れを拭おうとして...」

モゴモゴと口ごもる降谷。

だから私は核心をついているであろう仮定をぶつける。
 

「ん?私の涙じゃあなくて?」

「ちっ違います!断じて!」

それは図星の反応だよ降谷くん。どうやら私は勝ったようだ。
...何の勝負なのかはわからないけれど。
不機嫌そうにこちらを睨んでる。
 

「まあまあ、笑ったのは悪いと思ってるよ」

「いや、それ思ってないでしょう」

即答だなんて心外だなあ。

「思ってるよ、ちゃんと。そんなところが大好きだって言ったじゃん」

「...今日はどうしたんですか?」
 

どうしたって、大事なことは言っておかないと。

そんなことは口が裂けても言えない。
 

この事件が終わったらまたこの人はいなくなってしまうんだろう。
だから、今のうちに。今のうちに言いたいことは言っておかないと。
...本当の気持ちなんて言えないけれど。

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かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» いつも本当にありがとうございます!これからはまた前のようなペースでやっていきたいと思います、よろしくお願いします! (2016年6月30日 0時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - お久しぶりですね。他の方たちもぱったりと更新されなくて寂しかったんですよ。有難う御座いますと此れからも宜しくお願いします。 (2016年6月28日 23時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - かなとさん» 安室さんがこんな感じだったらいいなあという私得な展開でした...!そう言っていただけてよかったです! (2016年6月12日 23時) (レス) id: 8b9d5f2ddb (このIDを非表示/違反報告)
かなと(プロフ) - 安室さんカワ(・∀・)イイ!! (2016年6月12日 0時) (レス) id: 5c59d46582 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこ板(プロフ) - 106さん» コメントありがとうございます!そんなことを言っていただきうれしいです!がんばります! (2016年6月12日 0時) (レス) id: ab8133160c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かまぼこ板 | 作成日時:2016年5月21日 23時

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