最後の審判【名探偵コナン】

七日前　嬉しい ページ15

「あと、社長の息子さんではあったのですけど、社長は他の方を次期社長候補としていて...」

重体の男性がその方なんです。

その言葉で、全てのつじつまがあった気がした。

「そうか...！だから高田さんに直接危害を与えるのでなく、こんな形で...」

自分のことを見てくれない彼女が確かに憎い。しかし、自分を次期社長に選ばなかった父親もその選ばれた本人も憎い。
今回の事件は、そんな感情から起こったとしたら。

何となく、この件の全体が見えてきた。

しかし、高田さんの弁護士はこのことを知らなかったのだろうか。
　

「ありがとうございます。とても重要なことを教えてくださって」

「いえ...これくらいしか分からないのですが」

また何か思い出したら連絡する、ということで連絡先を交換した。

分かった事は多いけれど、これが事実だという証拠が必要。

「ところで...その上司の方というのは今日、いらっしゃってますか？」

それは本人と話せば分かるかもしれない。

「それが...事情聴取が終わってすぐ、出張に行かれたらしいんです」

そこで、会社の玄関での受付の言葉を思い出す。

“責任者が出張中でして...”

社長が亡くなり、次期社長もいない。そこで早速自分がトップにたったということか。
それに、このタイミングで出張とは何かありそうだ。
　

「そうですか...わかりました、今日は本当にありがとうございます」

「いえ！お礼を言うのは私のほうです！誰かに話せて本当によかったです！」

さっきまでの雰囲気が嘘のように明るく言った。
切り替えが上手い人なのだろう。
　

「というか...やっぱり少し楽しんでいません？」

高田さんの分も自分が頑張るとはさっき言っていたが、なんだかそういう感じとは別の感情がありそうだ。

すると、ニヤニヤと僕を見て笑う。

えっ、何か顔についてますか...？と口を開こうとしたが、それは彼女の言葉により遮られた。
　

「...まあ、降谷さんが動いているという点についてはおもしろくなってきたなあという感じですが」

「は？」

思いもよらない発言に呆気にとられる。

「連絡を絶っていた降谷さんがAのために動いてる。私は今すごく嬉しいし、何があったのかなあって」

ニコニコと話しながらドアノブに手をかけていた森川さん。では！と元気よく応接室を出て行った。

言い逃げ...！？

何があったって、高田さんのお母さんから連絡が入っただけですよ。
...せめてこれだけは言わせて欲しかったものだ。

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