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『そういえば風見さんとお母さんは知り合いなんですか?』
すごい母が馴れ馴れしいのですが…と、横目で母を見ると、風見さんはあぁ、命の恩人なんです、と軽く言った
あまりにもさりげなく言うので、ほぉ、命の恩人ですか、とあたしも普通の調子で返してしまった
そしてしばらくしてからその異様さに気づいた
『えっ?命の恩人!?』
「はい」
あの二人がですか!?と未だに酔いの醒めていない父と、それを介抱する母を見て声を上げる
母はこちらに向きニコ、と微笑んだ後、また父の介抱に戻った
え?今のなんのサイン?
状況が理解出来ていないあたしをさらに置いていくかのように風見さんが簡単に説明しますね、と言葉を続ける
「私が警察に入ってすぐだったので、Aさんがまだ小学生程の頃ですね。その時の私はまだ交番勤務で、その日は雨で視界が悪い中、近くでひったくりがあったので向かって欲しいと連絡が入ったんです」
今考えると、ひったくりだからといってあまりに不用意過ぎました、と苦笑をこぼした
しかし話にのめり込んでしまったあたしは、相槌を打つことも忘れて次の言葉を待った
「レインコートを羽織って警棒を持ち現場に向かっている途中、運良くひったくり犯と道で遭遇しました。取り抑えようとしましたが相手にも武道の心得があったのか、簡単に躱されてしまいました。雨ということもあって一瞬犯人を見失った途端に犯人が懐から出したナイフで脇腹を刺されたんです」
思わず顔を顰めてしまった
感情移入、と言うのだろうか、本当にあたしが刺された気さえした
「その時ですね、偶然通りかかったあなたの苗字さん達に助けられたのは」
「風見くんは出血量が酷くてね…どうなるかと思ったわよ。まぁ私達の完璧な応急処置で助かったんだけれどもね!」
「その節は本当にありがとうございました…」
Aは元気に学校行ってたもんなぁ〜、知らないよなぁ〜と父に肩を組まれる
振りほどきたかったが、警察が死と隣合わせという事実を今聞いたばかりのあたしは、生きていてくれるだけでとても嬉しいことなんだ、と思い父の手を払うことは出来なかった
「お?なんだぁ?嫌がらないなんてデレ期かぁ?」
前言撤回、物凄い振りほどきたい
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想い人(プロフ) - 心さん» 楽しみにしてくださってありがとうございます!1日1話のはずが不定期になってしまい本当にすみません…!完結まで持っていきたいと思うのでこれからもよろしくお願いします! (2019年10月31日 4時) (レス) id: e9eaf42caa (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月27日 17時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
想い人(プロフ) - 美桜琉さん» 本当ですか!?とても嬉しいお言葉ありがとうございます!すごく励みになります!これからもこの作品をよろしくお願いします! (2019年9月16日 23時) (レス) id: e9eaf42caa (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - めっちゃ面白いですね!これからも更新頑張って下さい! (2019年9月16日 18時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
想い人(プロフ) - いえ、大丈夫ですよ。こちらこそ原因が分からずすみませんでした。 (2019年9月14日 17時) (レス) id: e9eaf42caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:想い人 | 作成日時:2019年9月1日 3時