残夏、立つ瀬なし。 ページ1
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オレが初めて“実家に帰る”、ということをしたのは2年の夏のことだった。
地方の高校にわざわざ進学して、バレーボールに打ち込むのは嫌ではなかったし、1年の時は色々と忙しくて帰る暇はなかったから、2年のお盆休みを使って帰るのが初めての帰郷になった。
新幹線に揺られ数時間。ターミナル駅で降りてまた在来線に乗り換える。景色が見慣れたものへ変わっていく。海が視界の端を過ぎていった。関東近郊の、よくどこにでもある海辺の港町。そこに高校に進学するまで住んでいた。
スーツケースの荷が重い。
宅配便で送るべきだったかもしれない。いや、帰りはそうしよう。そう考えて最寄駅で降りた。
ターミナル駅から電車で20分、駅から歩いて10分。利便性はそこそこ。そんな久々の実家は、妙な新鮮味があった。
家に入ると、真っ先に廊下にいた姉と目が合った。
年の離れた姉は、独立こそしているもののお盆休みは帰ってきていたらしい。
おまけに親戚一同まで集っていて、既に家の中は宴会場と化していた。
既に出来上がってしまっている大人たちに絡まれるのは死ぬほど面倒だと考えたオレは、母親に「中学の同級生と会ってくる」と告げて荷物を置くと早々に家をまた飛び出した。
同級生に会うのは真っ赤な嘘だけど。
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[ハコナカ](IN THE BOX)(プロフ) - ひなさん» ひなさんにそう言っていただけるなんて嬉しいです…季節描写には力を入れたつもりなので… 裏返しの夏が完全にバイブルでした、ありがとうございます! (2018年11月15日 7時) (レス) id: baa2eb420e (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 不確かで淡いひと夏の思い出と約束、縛られてプリムラを枯らす倫太郎くんが切ない……時の経過を花で表現する表現力にひたすら泣きました。短いながら濃密で、画面外の夏までひしひしと伝わるこの感じをエモという陳腐な言葉でしか表現できないのがもどかしいです。 (2018年11月14日 19時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:[ハコナカ](IN THE BOX) | 作者ホームページ:
作成日時:2018年11月14日 19時