想い、想われ、 (ページ33)

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幸いCM中だし

事情を話せば一回外に出てポップコーン買えるかな？

そう思って

新しいポップコーンを買おうと席を立つと

樹くんに腕を掴まれて引き寄せられて

再び自分の席に座る。

「全然良いよ。始まっちゃうから」

『せっかく買ってくれたのにほんとごめんね』

「俺もそうしようと思ってた」

そう言って微笑む樹くん

『ごめん』

　
スクリーンに顔を戻せば

ちょうど映画が始まった。

はじまったけど

隣に、こんなに近くに

好きな人がいるって、樹くんがいるって

どうも落ち着かない。

手を握られたらどうしようなんて

それこそよくある映画のワンシーンみたいな

そんな妄想だけが頭の中を駆け回っていた。

隣を向けば彼の真剣な横顔

幸

最初はそんなことばかり繰り返していたけど

中盤は映画に釘付けで

絶対泣かないって思っていたのに

つい涙がこぼれて、樹くんにバレないように

そっと指先で目元を拭いた。

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