ふあんてい。 ページ6
たなかさいど。
北「じゅり、ぃ…じゅぃ、」
「んー？」
北「まえ、みえないの、っ、…じゅぃはっ、？」
「じゅりだよ、ここにいるから大丈夫。」
貧血のときにときどき不安になっちゃうらしいほくと。
いまも細くて白い腕が宙をさまよっている。
その腕を優しくつかんであげる、
北「ぐるぐるっ、くらぁ、いっ、…やぁっ、」
「大丈夫、樹ここにいるからなー」
北「じゅぃ、じゅりぃ、っ、こぁい…っ、ぐすっ、」
「ほくとー、泣いたらくるしくなっちゃうよ、」
北「ごめ、なさっ、ひっく、やぁっ、…おいてかな、でっ、」
「ほくと、」
とりあえず落ち着かせないとだな、
「ほくと、じゅりだよ、ほくとのことおいてったりしないよ。ずっとそばにいるよ。」
どんどん呼吸が乱れる姿に背中を摩ってやりたい、抱きしめて、安心させてあげたい、気持ちが湧いてくる。
でもきっといまの北斗には逆効果だから、そっとしゃべりかけることしかできない。
北「ごめ、なさっ、ひゅっ、ごめんなさい、っ、 」
それでもごめんなさいと何度も繰り返す北斗。
こんなにも不安定なのはひさしぶりで。
さすがに大我も気づいて和室まで来た。
大「大丈夫、じゃないね…」
大「ほくとー、ほくと、ほくとのことだれもおいていかないし、ほくとのこと大好きだから、」
少し手を握り返してくれて落ち着いたけど、まだ呼吸は荒いままで、
咳も出てきてるし、
抗不安薬は副作用が強かったり使いすぎると依存性があって以前大変なことになったからあまり処方されてなくて、
結局前ので使い切ってて家には何も無いし、
樹「おれっ、電話してくる、」
大「そうだね、おねがい」
前はもっとこういうことはよくあった。
1度病院に連れていった時、目が覚めて知らない場所だったことにパニックになって大変で。
そこからは担当医の先生が来てくれるようになった。
北「けほ、はぁ、ひゅっ、っは、」
大「もうすぐせんせー来てくれるからね、」
病院から近いここへは10分くらいで来てくれた。
でももうその頃にはほくとは呼吸が浅くて。
少ない力もがく小さな身体。
いつ見ても、見慣れない。
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作者名：ほくぴ | 作成日時：2022年1月15日 19時
