【弱ペダ】blue cycle 2【短編集】 (ページ9)

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本音 4 荒北ページ9

屋上を出た後、無我夢中で走って帰路についた。途中から雨も降ってきて、傘を持ってなかった私は既にずぶ濡れだった。

時刻も下校時間を過ぎているため道には誰もいず、ただ、雨の音が静かに聞こえるだけだった。

もし、荒北が。

『ほんとに、嫌いって思ってるなら…』

私はどうすればいいんだろうか。

アイツの笑顔を再び見ずに、このまま終わるのか。

そう思うと先程堪えていた涙が溢れた。

収まれ、と思うほど涙は止まらなくなった。

ふと、後ろから声が聞こえた。
後ろを振り返ると、隣のクラスの新開くんがタオルを頭に乗せながら走ってくるのが見えた。

その場で立ち止まり、じっと彼の方を見続ける。

新開「ﾋｭｳ！やっぱり主人公ちゃんだった！」

そう言って荒北とはまた違ったほっこりとした笑みを浮かべた。

雨のお陰で涙は見えていないらしく、

新開「主人公ちゃん、びちゃびちゃだけど…大丈夫かい？」

と、心配そうに顔を覗き込んできた。

『だ、大丈夫です。では。』

そう短く返事をすると、私は走り出した。

新開くんに迷惑はかけられない。そう思った。

だからといって家に帰ろうとも思わなくて、ある場所へと足を向けた。

ーその頃ー新開side

きっと、主人公ちゃんは泣いていた。雨ではっきりとは分からなかったけど。

何があったかは知らないけど、きっと原因はアイツだ。
そう思ってケータイを取りだし電話を掛ける。

新開「"もしもし？靖友か？"」

荒北「"ンだヨ。"」

新開「"今、外で主人公ちゃんと会ったんだけど…"」

受話器の向こうから、ハ？と声の低い驚きの声が聞こえた。

新開「"何があったかは知らないけど、多分主人公ちゃん泣いてたぜ。走って逃げちゃったけど。"」

そう言う途中で電話は切れてしまった。

あの二人の本音はきっと同じはず。

新開「不器用だなぁ。ったく。」

降り続く雨の中、ケータ