睡眠欲 ページ10
1日寝たというのにまだ眠くて車の中でウトウトとしていたら、シュウさんがボソッと肩貸してやる。と言った。
聞き間違いかと思って顔を見てみたけれど真っ直ぐ前を向いたままでわからなかった。
とりあえずお言葉に甘えて肩に頭を乗せてみたけれど、振り払う様子もなく気のせいじゃなかったんだと思った。
どうやらすぐに寝てしまったようで、学校に着いてシュウさんに起こされた。
何も言わずに行こうとするから急いでお礼だけ伝えて教室に向かった。
シュウさんの考えてる事は全くわからない。
まぁ私の事を餌としか思ってないのだけは確かだと思うのだけれど…
ならなんで優しくするんだろ?
「って何考えてるんだ私!」
シュウさんの事は今関係ないし優しくする理由なんてないでしょ!
偶然、気まぐれ、そんなもんなはず。
私には関係ないもん。
無理矢理思考を切り替えようとした時だった。
『鷹崎さん。ちょっといい?』
目の前に女が3人、腕を組んで立っていた。
「あ、えっと…遅刻しちゃうので…それじゃあ」
ただでさえギリギリの時間に出た私は既に遅刻寸前。
3人は私が起きる前に教室に向かったみたいでセーフだったみたいだけど…
余裕がなく女の隣をそそくさと通ろうとしたら足を引っ掛けられて無様にも転けてしまった。
「っ…」
転けたのなんて小学生以来でものすごく恥ずかしい…
ってそうじゃない遅刻するじゃん!
ハッとして走り出そうとしたら髪の毛を掴まれた。
「いたっ、一体何なんですか…」
無礼にも程がある。
さすがに髪の毛を掴まれるのは腹が立った。
『はぁ?何アンタが怒ってんの?
私達の方がアンタに怒りたいんですけど』
真ん中の女がそう言うと両隣の女が睨みきかせてきた。
あ、よくある言いなりになってる女だ。とは口が裂けても言えず、静かに次の言葉を待った。
『アンタ、逆巻のみんなと一体どういう関係なわけ!?いきなり来てベタベタしやがって…』
「え、ベタベタ?」
さすがにその記憶はなくつい口から漏れてしまった。
いや、まぁ昨日は確かにしたけれど家の中だからこの人達は見てないわけだし…
というか吸血ってベタベタではなくないか…?
どうでもいい事を考えて女3人を放置していたら舌打ちされた。
『とぼけてんじゃねぇよ!!』
「っ!?」
そういうと思い切り顎に蹴りを食らってしまった。
いや、さすがにそれアウトでしょ…
私もイライラしないわけじゃないんだけどな…
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作者名:縷僂 | 作成日時:2019年11月18日 23時