甘い匂い ページ40
身体中の血液が大きく脈打って心臓が強く痛み、それからの記憶はなかった。
ただ、目が覚めたらシュウの寝息が聞こえた。
「シュウ、寝てるの?」
シュウ「んぁ…?起きたか」
ゴソゴソと音が聞こえる。
恐らく身体を起こしているのだろう。
「私、ヴァンパイアになったの?」
シュウに問うと私の口に指を突っ込んで牙に触れた。
シュウ「あぁ。間違いなくアンタはヴァンパイアになった」
私も自分の牙に触れてみた。
今までと違う尖った感じは確かにヴァンパイアのそれだった。
「クスッ
これでずっと一緒にいれるね
ところで全然関係ないんだけどさ、この部屋すごく甘い匂いしない?」
目が覚めてからずっと甘い匂いが漂っていてそれがすごく気になっていた。
けれどシュウがこんなに匂いのきつい甘い物を食べるとは思えない。
シュウ「…」
「シュウ?
わ!?」
黙り込んだままのシュウを不思議に思いながらも答えを待っていたらいきなり手を引かれ、硬い胸板に飛び込む形となってしまった。
「し、シュウ!?
って、え…?これ、シュウの匂い…??」
先程よりずっと甘い。
匂いが濃い。
クラクラする。
「ぁ…血、吸いたい、かも…」
喉がゴクッと鳴った。
自然と息も荒くなる。
グラグラと揺れる理性。
シュウ「好きにすればいい」
それはその一言で、呆気なく崩れた。
118人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:縷僂 | 作成日時:2019年11月18日 23時