楽しいよ ページ37
当然といえば当然、私の視力は回復しなかった。
病院に行ってももう手遅れとのこと。
私は晴れて介護生活になった。
シュウさんに手助けしてもらいながら生活していた。
勿論他の5人も手伝ってくれた。
傷は正直見せたくないから包帯を巻いた。
見た目が大袈裟になってしまうけれど、醜い姿を晒すよりはずっといいと思った。
シュウ｢A、学校行く時間だ｣
｢うん｣
怪我を避けるためにも私は車椅子で生活する。
階段から落ちたりした日にはシュウさんが私を離さなくなってしまうから。
リムジンに乗って学校までの間、シュウさんはいつもイヤホンを片方貸してくれるようになった。
私はその音楽を聴きながら学校に向かう。
学校に着いてからは教室が違うこともあり、ライトくんが車椅子を押してくれた。
｢ライトくん、ごめんね。こんな面倒くさいこと。｣
ライト｢またそれ〜？もういいのに。
ボクはね〜君が思ってるほど君のこと、嫌いじゃないよ｣
｢そうなの？｣
カナト｢アヤト、ライトが気持ち悪いです｣
アヤト｢いつもの事だろうが。ほっとけ｣
ライト｢ちょっとそこの2人？失礼じゃなーい？？｣
｢クス…
3人のじゃれてる姿、見られないのが残念ね｣
ライト｢じゃれてるってそんな動物みたいな言い方ないでしょ｣
そうだそうだ！と不服そうなアヤトくんとテディに話しかけ始めたカナトくん。
いつも通り、だから見えなくても簡単に想像出来る。
｢ありがとう｣
正直こんな未来になるなんて微塵も思わなかった。
いや、まぁヴァンパイアと住むことになった時点で全てが予想外だけど…
でもこんな生活も悪くない。
それに、みんなとの心の壁がなくなったように感じる。
私も壁を作るのをやめた。
それからがすごく、楽しい。
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作者名：縷僂 | 作成日時：2019年11月18日 23時
