＊ ※ ページ11
Red.
くたあっと座席に横にさせられている彼を見ていたら、膝の上に居る北斗がゴソゴソと動いた。
「まだ気持ち悪いか。ちょっと待ってね、体起こすよ」
よいしょっと力が抜けている体を俺にもたれかからせて、高地が差し出してくれた袋を持たせる。……が、北斗はそれを落とした。多分、故意に。
やっぱり大我のことがあるから、吐くのが嫌なんだろう。長い腕を活かして、隙間に入り込んだ袋を拾う。
「…や、……はぁっ、吐かない。やだっ、」
「でも、辛いでしょ」
高地は困った顔で北斗の黒い髪を撫でる。すると、北斗は唇を噛みながら、俺の肩に顔をうずくめた。
ぎゅうっと服を握りしめている彼の熱をもった息がかかる。服がそれを吸収して熱いが、これくらい何とも思わない。
個人的には吐いて楽になってほしいと思ってしまうんだけど、体力的にも気持ち的にもキツいだろうなと考えたら、
吐くのも嫌になるわなって、納得というか、理解出来る部分はある。…ただ、見てるこっちも辛いんだよね。もどかしいし、こんな北斗の姿なんて見たくないからさ。
背中に手を添えながら顔を上げれば、みんなは心配そうに見ていた。大我も、樹と慎太郎に支えられて、上半身をこちらに向けている。
それから、少しだけ耐えていた北斗だけど、
吐き気が治まるといいね、なんて俺の願いも虚しく、ごぽりと音がして、ギリッギリで準備できた袋の中に水分を吐いてしまった。
「おっと。…疲れたね、よく頑張ったよ。ゆっくり休みな。楽にしてていいから」
前に傾いた北斗を支える。処理は、悪いけど高地に任せた。
「熱、上がってきたんじゃない。しんどい？」
「ん、きょ、もと…っ、」
俺の声は、彼には聞こえていなかったのかもしれない。
また吐き気を誘ってしまったんじゃないかと、泣きそうな顔で名前を呟いた北斗に、大我が話しかける。
「ん、俺？ ふふ、もう大丈夫だよ。元気になった。
……だから、はやく元気になってよ、北斗」
吐いてスッキリしたんだろう。優しく笑った大我は、北斗と距離を詰めた。
やっぱり、本人からの言葉が1番効くよね。
大我を数秒見つめて目を逸らした北斗は、頷きを返した。
「ハハッ。北斗照れてんの？
いい感じにきょもほくしてるじゃーん」
樹が豪快に笑う。
もっと2人とも元気な時にやってほしいもんだけどね。
もうきらい、と俺に体を押し付けた北斗を笑ってなだめた。
end.
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tiroru(プロフ) - ばーん。さん» ありがとうございます。了解です。ゆっくり待っていますのでばーんさんのペースでよろしくお願いします。 (2020年4月12日 12時) (
レス) id: b6a5c69903 (このIDを非表示/違反報告)
ばーん。(プロフ) - tiroruさん» 了解致しました！ お待たせしてしまうかと思います。少々お待ち下さいませ。 (2020年4月12日 1時) (レス) id: 6373f24c9d (このIDを非表示/違反報告)
tiroru(プロフ) - 2編目への移行おめでとうございます。いつも楽しく見ています。リクエストなんですけど、北斗くんが役作りでダイエットをしていて拒食みたいになってしまい、youtubeで食べる企画の時に苦労していまうというのがみたいです。可能であればお願いします。 (2020年4月12日 0時) (レス) id: b6a5c69903 (このIDを非表示/違反報告)
ばーん。(プロフ) - ry_ryさん» 了解致しました！ 全然大丈夫です。ありがとうございます。少々お待ち下さい〜 (2020年4月11日 10時) (レス) id: 6373f24c9d (このIDを非表示/違反報告)
ry_ry(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いてます！もし可能でしたら、京本くんが体調不良になってしまって、北斗くんが心配するみたいなのが見たいです（ ; ; ）！出来たらで大丈夫ですので、ご検討お願いします！ (2020年4月11日 1時) (レス) id: 226a24f45a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばーん。 | 作成日時：2020年4月10日 1時
