＊ ページ4
Black.
「次、樹と北斗だってさ」
「1人で行けそう？ 手伝った方がいいよね」
呼びに来た京本とジェシーに、大丈夫とだけ返して、高地たちに支えられて起き上がっている樹の片腕を首に回した。
危なっかしいけれど、彼も一応歩けているようで、助かる。いくら細くて軽いとはいえ、全体重をかけられたら、多分今の俺じゃたえかねる。
ゆっくり、慎重にスタジオまで向かう。
「…お前、大丈夫か、」
不意に樹は俺を見た。歩みを止めてしまって、慌ててまた進む。
多くは言ってないけど、……大体予想はつく。いや、ついてしまう。
樹よりも熱いのかはしらないけど。
彼にはバレないんじゃないかと思ってた。体熱いのは同じだし、とても辛そうだから、俺のことを気にできる余裕もなさそうだなんて、勝手に過信していた。
「なにが？」
とぼけた顔を繕う。だんまりきめこんだりとか、言い訳いっぱい並べるよりかはよさそうだと思うし。
丁度スタジオに着いたからか、勘違いだったのかもと思ってくれたのか、こんな調子の俺に呆れて諦めたのかは分からないが、問い詰めてくるようなことはなかった。
わちゃっとするようなテーマではなくて、肩に手を置く程度しか樹のサポートが出来ない。
というか、フラフラしてきちゃってて、逆に俺の方が支えられてるんじゃないかって思ってしまう。
どうにかやり切って、そのまま全員でのカットに移る。
もちろん、少し休憩を挟んでもらって。
「以上で撮影を終わります！」
「はあっ…はぁ、ごほ、げほっ…」
樹は、高地の腕を掴みながらへたり込んだ。俺はただ、それを見ているだけ。
だんだん焦ってるみんなの声が心なしか遠くに聞こえて、頭がくらくらしてきて……
「北斗、なにぼーっとしてんの？ みんな行っちゃったよ」
慎太郎が俺の顔を覗き込む。俯いていた顔をちょっと上げて、「ごめん」と目を合わせずに謝った。
じっと耐えている間に、みんなは行ってしまったようだ。
わざわざ声をかけてくれた彼を振り切るように、早足でその場から去る。…なんてことしてんだろうって、1人になってようやく気づいた。
俺の横を慎太郎は走って通り過ぎたけれど、チラッと見られただけ。
慎太郎は、分かりやすいから。俺にイラッときてんだろうなってことは、体調がすこぶる悪い状態の俺でも分かる。
……しっかりしないと。
はやく休みたくて仕方ないけれど、今はダメ。
頬をパチンとして、深呼吸をした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 540人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
tiroru(プロフ) - ばーん。さん» ありがとうございます。了解です。ゆっくり待っていますのでばーんさんのペースでよろしくお願いします。 (2020年4月12日 12時) (
レス) id: b6a5c69903 (このIDを非表示/違反報告)
ばーん。(プロフ) - tiroruさん» 了解致しました！ お待たせしてしまうかと思います。少々お待ち下さいませ。 (2020年4月12日 1時) (レス) id: 6373f24c9d (このIDを非表示/違反報告)
tiroru(プロフ) - 2編目への移行おめでとうございます。いつも楽しく見ています。リクエストなんですけど、北斗くんが役作りでダイエットをしていて拒食みたいになってしまい、youtubeで食べる企画の時に苦労していまうというのがみたいです。可能であればお願いします。 (2020年4月12日 0時) (レス) id: b6a5c69903 (このIDを非表示/違反報告)
ばーん。(プロフ) - ry_ryさん» 了解致しました！ 全然大丈夫です。ありがとうございます。少々お待ち下さい〜 (2020年4月11日 10時) (レス) id: 6373f24c9d (このIDを非表示/違反報告)
ry_ry(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いてます！もし可能でしたら、京本くんが体調不良になってしまって、北斗くんが心配するみたいなのが見たいです（ ; ; ）！出来たらで大丈夫ですので、ご検討お願いします！ (2020年4月11日 1時) (レス) id: 226a24f45a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばーん。 | 作成日時：2020年4月10日 1時
