繋がるのは 2 ミンギュ ページ6
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「俺のヌナに何の用ですか?」
その声が聞こえた瞬間、男の手は離れていった。
男と私の間に割って入るようにして目の前に現れたのは、とても見慣れて安心する黒髪と、背中。
上の方から降り注ぐように聞こえた声は、他でもないミンギュのものだった。
男の方を向いたままのミンギュの左手が、後ろにいる私の方に差し出されたので私は何も考えずに両手で握った。
「あ?」
「何の用ですかって言ってるのが聞こえないのかよ」
「……ちっ」
明らかに怒った声色のミンギュに、上から見下ろされた男は、そのまま夜の街へ逃げて行った。
ミンギュはゆっくりと私の方を振り返り、右手で優しく私の頭を撫でてくれた。
「Aヌナ、待たせてごめんね。怖かったよね、痛いとことかない……?」
カトクも既読にならないし心配してたらこんなことに、と申し訳なさそうな顔をしたミンギュが少し屈み、私の顔を覗き込んだ。
間近でミンギュの顔を見たら、安心と恥ずかしさが入り交じり突然涙が溢れてきた。
「ミン、ギュはっ……悪く、ないの、受け流せ、なかった私、が悪いの」
「ヌナは悪くないから。俺がもっと早く来れればよかったのに、ごめん」
「ミ、ンギュ……に会いっ、たかったの……」
「俺もヌナに会いたかったよ」
「うーーー……」
「もう大丈夫だから、泣かないで?ヌナの悲しんでる顔見るのは俺も辛いから」
「ミンギュ……」
ミンギュが辛いのは何よりも嫌だ。
必死に深呼吸をする。
ミンギュがお気に入りの香水の匂いを鼻で感じると、少しずつ心が落ち着いてきたようだ。
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作者名:一色(ひいろ) | 作成日時:2017年1月31日 2時