繋がるのは 1 ミンギュ ページ5
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冬の空気に触れる顔が少しピリピリと痛むかのように寒い夜。
空気は澄んでいて、見上げる星はとても綺麗だ。
視線を行き交う人々に向けると、年末ということもあってか、皆どこか楽しげに見えてくる。
仕事が早く終わったので、待ち合わせ場所の駅前に一人佇む。
ミンギュからは時間通りに着くよ、とメッセージが来たのでもうそんなにかからないだろう。
ミンギュとは仲がいい友達だ。
よくご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりする。
でも私はずっと前からミンギュのことが好き。
だからこうやって、お互いの仕事納めの日にも会えるなんて、この上ないくらい幸せなんだ。
メイクはこれで大丈夫だろうか、髪型も変じゃないかなと悩みだし、リップを塗り直した時だった。
「お待たせ」
聞こえた声に違和感を覚えながらも、顔を上げるとそこには背の低めな知らない男がいた。
(少し赤い耳と顔、どうやら酔っぱらいみたいだ)
「……?待ってないです」
「そんなこと言っちゃってー」
最悪だ、ナンパだ。
さっきまでの私の楽しい気持ちが、今目の前にいる男のせいで吹っ飛ばされてしまった。
コートのポケットに入っているスマホが震えた気がしたけど、気が動転してしまって見る余裕なんてなかった。
思わず返事をしてしまったのが運の尽きで、男はどんどんと話し始めた。
「可愛いね」
「可愛くないです」
「お星様待ってるの?」
「待ってないです」
「ツンツンしてるのも可愛い」
とりあえず少しでも早くどこかにいってほしくてしょうがなかった。
「こんな寒いところで待たされてたら風邪引いちゃうよ?」
「強いので大丈夫です」
「俺とあったかい所行かない?」
「行きません」
「そんなこと言わないでよ、行こ?」
「……やっ」
私が男に手首を掴まれた時だった。
(こわい、こわいこわいこわいこわい)
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作者名:一色(ひいろ) | 作成日時:2017年1月31日 2時