愛は憎悪の始め。【及川徹】 (ページ15)

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及川さんに、ここの教室だよと教えて貰い入ったのは

2年5組、とクラスタグが掲げられている教室。

入った瞬間、教室がザワつく。

…まあ、そうだよね。ある程度は分かっていたつもりだったけど、やはり注目を浴びるのは少し緊張する。

「あ、あの……お、おはよう」

ニコッとぎこちない笑みを浮かべてその場に立ち尽くしていると、クラスの女の子達が押し寄せてきた。

「Aちゃん！久しぶり！事故に遭ったって聞いたけど、もう学校来て大丈夫なの！？」

「おはよ！Aちゃんどこ怪我したの！？」

「Aちゃん大丈夫～！？久しぶり～～！」

…何も心配はいらないかもしれない。

以前の私、人望が厚かったのかな…。

「えっと、もう大丈夫。…あと、ごめん、私の席、どこか分かる？」

「ああ、うん！ここだよー」

そう教えてもらった席に着くと、横から声をかけられる。

「おはよ、マネージャー」

…誰かさっぱり分からない。

…マネージャーって私のこと？でも、彼の目は完璧にこちらを見つめている。

「…私？おはよう…？」

「マネージャーがお前以外にいるかよ………

事故で記憶でも無くなったのか？」

「…実は。その通りなんですけども」

すると彼は有り得ん程の大口を開けて驚いた後に

私が今までの経緯を説明していたら、クラスの人々がいつの間にか周りを囲んでおり、

記憶喪失だということがクラス全体に知れ渡った。

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どうやら私に話しかけてくれたのは矢巾くんという人らしい。

そして彼から聞いて分かったことは、以前の私はバレー部のマネージャーをしていた事。

…そして、及川さんと付き合ったのは事故に遭うほんの数週間前だった事。

そう思えば、付き合ったばかりの彼女が事故に遭って、記憶喪失になってしまって…

それでも親身に記憶を取り戻す為に私の面倒まで見てくれてた、という事。

親切にも程がある、というか、感謝しかない。

＿＿＿及川さんって、本当に良い人なんだなぁ。