【ＯＮＥＰＩＥＣＥ】届けたいオモイ (ページ23)

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～昨日、レッドフォース号にて～

「んで、バスターコールはつつがなく行われたってワケよ

私たちが洞窟から出て行ったときには既に街なんて跡形もなくてさぁ・・・

死体だらけだった」

その日、久し振りに会ったAをレッドフォース号に招待していた

理由は、再開を懐かしみたかったからというのと、あとは・・・あれだ

まぁ、惚れた女と少しでも長くいたいと言うのは、普通じゃないだろうか

こんな親父が２０もいかないような女に惚れたなんて、歳の差以前に何か倫理的に問題がある気がするから誰にも言ってねえけどな！

宴と称してそいつに酒を飲ませたところ(未成年なんて知ったことか！)大分弱いらしくてすぐに呂律が回らなくなってきた

ついでだから、今まで彼女に起こったことを聞いてみよう、などと簡単な気持ちで聞いてみたところ、案外簡単に話し出してくれた

軽い口調で話し出した彼女の『今まで』は、とても重いものだった

「で、その後はなーんか知らんけど人攫いがやってきてさぁ・・・

私たちはどれーしょーにんの船に乗せられたんだよ

で、ヒューマンオークションに出されることになった」

相変わらずちみりちみりと酒を飲む彼女の口調は、変わらず軽快だった

「きっと逃げられないって思ってさ

だから私、悪足掻きでわがまま言ったんだよ」

こーんな感じに、と軽やかに立ち上がって彼女は歌いだした

乗せる前に船で見た、あの青い波紋はなかった

しかし、その声は透き通って聴く者全てを虜にしてしまうような、そんな歌声だった

歌い終わった後、彼女はまたどかり、と腰を下ろした

「自意識過剰ってわけじゃないけど、私が人並みはずれて歌が上手いってことは自覚していたものだからさ

だから言ったのよ

『私を売るのなら、この歌を売りにしないときっと高く売れない

けれど、私はネオと一緒じゃないと絶対に歌わない

いくら私にひどい事されても、喉がある限り私は絶対に歌う

でも、ネオにひどい事したら私は絶対に歌わない』

そう言ったら、オークションの店主さんは目論見どおり私とネオをセットにして売ってくれた

説明ついでって言わんばかりだったけど、ちゃんと私の歌う条件も言った

そしたら買った人は、ネオには何もしなかった」

私は、どれーの焼印を押されたけどね

そう言った彼女は、どこか寂しげで、とても誇らしげだった

　

　

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