*…── 非 常 階 段 ──…* episode3

「2 ページ15

野球部の知り合いに頑張れと手を振って、
其処から離れようとしたとき

確か、エースとして有名な岩橋先輩が俺を指差して。

その隣に居た人が近づいてくる。




「ねえ、Aの彼氏だよね？」




炎天下のなか野球をしとるはずなんに、その人は真っ白な肌で。

帽子の下の大きな瞳で、俺を見上げた。


………誰、や？




「もう別れ…

「あいつさ、ほんとキミが好きみたいでさ、」

「………っ…」

「何で喧嘩したかしらないけど、早く仲直りしてあげてよ」




違う、

俺はもう、西条の彼氏じゃない。


俺は、もともと西条の隣に居ていい人間じゃない。

やっぱり、あの時突き放しておけばよかってん。
自分の気持ちを閉じ込めておけば。






「………泣かせんなよ、」




そう言い捨てて、練習へ戻っていった野球部の人。









______泣かせんなよ、って



そんなの、今の俺に求める？

無理やろ…

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