第四話 ページ6
「は…？」
思わず間抜けな声が出た。たけしは俺の自己紹介を聴いていたのか？
俺は元陸上部だと言った。勿論、こちらでも陸上部に入るつもりだ。そんな事はなんとなくでも分かるだろう。
しかし、たけしはそんな俺をわざわざバスケ部に勧誘してきた。
勧誘するなら普通、バスケの経験者を選ぶのではないか？ここのバスケ部は強豪だと聞いたし。
首を傾げていると、俺の考えが伝わったのか、たけしは何故俺を勧誘したのかを説明し始めた。
「いやぁ、お前なーんか見た感じ強そうなんだよ！なんとなく分かる！」
「なんとなくって…」
俺は呆れたが、たけしは構わず説明を続けた。
「実はな…この学校に『キセキの世代』が居るのは知ってるだろ？」
「まぁな。よくスポーツ誌にも乗ってるし…」
『キセキの世代』…確か、何年かに一度のうんたらとか書いてあったのを見た事ある。
詳しくは知らないが…それがどうしたと言うんだ？
「それなんだけどな…そいつらが何時もスタメン奪ってんのよ！だからな、他の一軍はいつも暇してて……俺は許せねえんだ！！」
その口調には怒りが含まれていた。
相当怒ってるんだな、こいつ…
「だからな、俺よ！『キセキの世代打倒の世代』を作ろうと思うんだ！」
椅子から立ち上がり、ビシッ！と俺を指差すたけし。HR中に立ち上がった為、周りの視線を集めた。もちろん俺も巻き添えである。
それにも関わらず、たけしは俺の方に乗り出して、こう言い放った。
「だからさ、協力してくれるよな？な？！」
「お、おう…？」
たけしの剣幕に押されていると、先生から注意を受けた。
「たけし君…座りましょう」
「…ハイ。
…とにかくA、考えといてくれよ！」
最後にたけしはそう言い放ち、席に着いた。
キセキの世代か…
キセキの世代。そいつらの顔や特徴を思い出していると、不意にあの少女の事が思い浮かんだ。
あの特徴的な髪色…お兄ちゃん…まさか、な…
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作者名：モルモットひじき | 作成日時：2016年4月22日 19時
