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会長と思い ページ9

「出かけよう」
キヨさんからのLINEがあって1週間、出かける場所は水族館になった。

今までにないおしゃれな格好をしてきたつもりだ。キヨさんは見つけてくれるだろうか。
そんな事を考えてると、後ろから目隠しをされて
「だーれでしょー!」

こんな事しなくても、骨ばった大きな手で分かっちゃうよ…

「キヨさん…」
か細くそういうと目隠しは解けて振り向けばキヨさんが立ってて「よっ!」と挨拶(?)をしてくれた。

「待たせちゃった?」
「い、いえ!今来たばっかりです!」
なんて、まるでカップルみたいな言葉。嬉しくてたまらない。



「わー!イワシの大群ってすごいですねー!綺麗です!」

子供みたいにはしゃぐ私をまるで見守るように見つめるキヨさん。
ああ、子供っぽく見えちゃったかも。と、心配をしたけれど、気にしないでおこうと切り替えた。

「ねぇ、Aちゃん、イルカショー始まるよ!行こーぜ!」

キヨさんに手を引かれてイルカショーを見ることになった。
看板を見て驚いた、【本日のイルカショーはカップル限定!!】とてでかでかと書かれていたのだ。
「わ、私達カップルじゃないですよね!?だ、大丈夫なんでしょうか…!?」

と、キヨさんに聞いてみたもののキヨさんはにへらっと笑って、
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!!だって俺達、恋人にしか見えねぇべ?」

その言葉が私を落としにかかった。ああ、かっこいい。素直にそう思わせた。

「…それなら、よかった、です…」

でも、私達はあくまで人気実況者と視聴者なんだから…ある程度の距離を保たないといけないんだ。
だって、私が視聴者である以上、キヨさんは視聴者全員に平等にしなければならないから。
分かってるよ。分かってる。大丈夫。

この恋心は隠し続けるほかない。
それが私にとってもキヨさんにとっても幸せなんだと、空っぽな頭で考えた。

横顔のキヨさんもかっこいいなぁ、
イルカのジャンプを尻目にそう直球に思った。

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作者名:お疲れアリス | 作成日時:2017年1月28日 16時

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