会長と思い ページ9
「出かけよう」
キヨさんからのLINEがあって1週間、出かける場所は水族館になった。
今までにないおしゃれな格好をしてきたつもりだ。キヨさんは見つけてくれるだろうか。
そんな事を考えてると、後ろから目隠しをされて
「だーれでしょー!」
こんな事しなくても、骨ばった大きな手で分かっちゃうよ…
「キヨさん…」
か細くそういうと目隠しは解けて振り向けばキヨさんが立ってて「よっ!」と挨拶(?)をしてくれた。
「待たせちゃった?」
「い、いえ!今来たばっかりです!」
なんて、まるでカップルみたいな言葉。嬉しくてたまらない。
*
「わー!イワシの大群ってすごいですねー!綺麗です!」
子供みたいにはしゃぐ私をまるで見守るように見つめるキヨさん。
ああ、子供っぽく見えちゃったかも。と、心配をしたけれど、気にしないでおこうと切り替えた。
「ねぇ、Aちゃん、イルカショー始まるよ!行こーぜ!」
キヨさんに手を引かれてイルカショーを見ることになった。
看板を見て驚いた、【本日のイルカショーはカップル限定!!】とてでかでかと書かれていたのだ。
「わ、私達カップルじゃないですよね!?だ、大丈夫なんでしょうか…!?」
と、キヨさんに聞いてみたもののキヨさんはにへらっと笑って、
「ダイジョーブ、ダイジョーブ!!だって俺達、恋人にしか見えねぇべ?」
その言葉が私を落としにかかった。ああ、かっこいい。素直にそう思わせた。
「…それなら、よかった、です…」
でも、私達はあくまで人気実況者と視聴者なんだから…ある程度の距離を保たないといけないんだ。
だって、私が視聴者である以上、キヨさんは視聴者全員に平等にしなければならないから。
分かってるよ。分かってる。大丈夫。
この恋心は隠し続けるほかない。
それが私にとってもキヨさんにとっても幸せなんだと、空っぽな頭で考えた。
横顔のキヨさんもかっこいいなぁ、
イルカのジャンプを尻目にそう直球に思った。
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作者名:お疲れアリス | 作成日時:2017年1月28日 16時