会長とほっぺた ページ6
「最近みんなのろけてるよ。笑顔しっかりね。」
ある日の夕方、店長は口を開いた。周りのみんなは「はい!」と元気よく返事をする。
「サヤカちゃん。君最近、仕事を怠りすぎだよ。Aちゃんを見習ってね。はーい、じゃあ仕事に戻ってー。」
店長に名指しされたのは同い年のサヤカちゃん。チラリとサヤカちゃんを見る。
「なに?、てか、あんたがいるから比べられちゃうじゃん。」
り、理不尽だー!!!そうだよね!これを理不尽だって言うんだよね!!!
は、腹立つう!!!
「な、何よ、きちんとしてないサヤカちゃんが悪いんじゃない。」
パンッ
「あんた、腹立つ。」
え、私、叩かれたさ頬がじんじんと痛む。
呆然とする私を置いてサヤカちゃんは歩いていった。
「……ええ…」
ひどい仕打ちだ。てか、仕打ちもなにも私何もしてないし!
落ち着け落ち着けと、自分を言いくるめた。
その時頭上から
「すいません注文いいですか?」
という声が聞こえて、慌てて顔を上げて、
「いらっしゃいませ!」
と声を出す。
「一昨日ぶりだな!Aちゃん!オレンジジュースで!」
そこにいたのはキヨさんで少し大きい声でまたオレンジジュースを頼んだ。
*
「オレンジジュースお待たせいたしました」
こと、とテーブルの上にオレンジジュースを置く。
「ありがとう!、あ、っと、ほっぺたどした?」
キヨさんは自分のほっぺをつんつんと触りながら心配してくれた。
「えーっと、色々ありまして…」
そうはぐらかすと、
「話聞かせてもらってもいい?座りなよ!」
揺るぎない笑顔でそう言われた。
私は大人しくキヨさんの向かい側に座り、先ほどの出来事を淡々と話し始めた。
お客様にする相談事じゃないような気がしたが…
*
「サヤカちゃんって子、ちょっと理不尽だよなー」
キヨさんがそういうので私は立ち上がり、
「そうなんですよ!思い出したら腹たってきました!!!!」
すると
プフッと、キヨさんは笑い出した。
「Aちゃんっておとなしい子だと思ってたけど、そんな1面もあんだな!!」
キヨさんにそう言われ顔に熱が集まるのが分かった。
ひゃー、恥ずかしい…。
外は雨がどしゃ降りで…そんな時、お店のドアが開いた。
「A!傘持って行ってなかったやろ?迎えに
来たで!」
そういい私達の近くに来たのは紛れもない玲斗兄だった。
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作者名:お疲れアリス | 作成日時:2017年1月28日 16時