会長とバイト ページ3
「いらっしゃいませー!お1人様ですね!こちらへどうぞ!」
得意の営業スマイルを貼り付けて夜遅くまでカフェのバイトに励む。
コーヒーは飲めないけどコーヒーの匂いが好きだから、しかも、時給がいい。という理由でここでバイトをしている。
店長や先輩は気さくな人達ばかりですぐに馴染めた。今ではここが大好きだ。
今日も今日とてバイトに精を出していた。
ピンポ-ン
店員を呼ぶチャイムがなる。
「はーい」
すぐさまテーブルにかけつけ、笑顔を貼り付けこういう
「ご注文お決まりですか?」
注文をしたのは30代くらいのお兄さん(おじさんはさすがに失礼だろうから)だった。
「あーっと、お姉さん、美人だよね。」
突然言われたその言葉、初めてそんな事言われた。照れながら私は「い、いえ…」と返した。
「ねぇ、連絡先教えてよ。」
「え…」
いきなりの発言に驚いた。漫画みたい…。聞かれちゃう事あるんだ!
でも…知らない人に教えるのは怖いし…嫌だな…。
「ごめんなさい…連絡先はちょっと…あ、あの…ご注文を…」
必死に話題をそらそうとした。
でもお兄さんは折れなかった。しつこく「連絡先ちょーだいよ」とか「どっかで会わない?」とか…怖くてたまらなくなった。
終いには、服を掴まれ作業服であるスカートがめくれそうになっていた。
恥ずかしい…でも、声を出せない…怖いよっ…
ビシャッ
「え、」
「は?」
その時、お兄さんの頭に水が降ってきてお兄さんは水浸しになった。
私の頭は混乱していた。その時、頭上から聞き覚えのある声が響いたのだ。
「お兄さん、嫌がってる女の子に手ぇ出すとかいい趣味してんな。」
にやりと笑いながら他の店員さんを呼ぶ、救世主さん。
少し経つと先輩たちがお兄さんを外に連れ出していて、そこの空間には私と救世主さんの二人になった。
「あ、あの…ありがとうございました…助かりました…」
「いーよいーよ、つか、ダイジョーブ?もしかして俺のかけた水、店員さんにかかってない??」
ああ、聞き覚えがある。
この少し枯れたようなかっこいい声、耳を貫くような少し大きい声…
「あ、はい、大丈夫です…ありがとうございます…キヨ、さん…」
そういうと目の前の救世主さんは目を丸くした
ああ、偶然会う確率は0ではなかった。
恥ずかしくてキヨさん(であろう人)の顔は見れなかった。
どうか夢でありませんように…!!
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作者名:お疲れアリス | 作成日時:2017年1月28日 16時