最終話 眠れ良い子よ ページ37
体の力が段々と抜け
いよいよ僕は死ぬのか…
そう思った瞬間、彼女の必死な声が聞こえた。
薄れていく意識をそれに向けた
ナミ「待って！いかないで！！
私まだ…あなたに何も伝えてない！
あなたのこと知らない！！
名前だけでもッ…ねえ！！」
僕はゆっくりと息を整え、震える声の方に視線を向けた。
A「ぼく、は…あなたの前では
Aの、ままでいたいんです…だから、最期まで…」
ナミ「Aッ…」
僕の目から涙が溢れた。
だがそれは、血に混じって消えていった。
ああ…切断された腕じゃあ
彼女を抱き締めることもできない…
ナミ「私まだ…あなたに…」
A「はぁ……はぁ…」
息がどんどんか細くなっていく。
瞼も段々重くなる。
これで、正真正銘最期なのだ…
いい人生だった、とは言えないが…それなりに楽しかったな。
すると、血ではない、何か温かい液状のものが僕の手の甲に落ちてきた。
________彼女の涙だ
僕は彼女に目を向け、
精一杯口角を上げ いつもの様にニッコリと笑って見せた。
その顔に彼女は、安心したように笑顔になった。
_____そう
その顔が見たかったんですよ、ナミさん_____
____ああ…僕はなんて馬鹿なんでしょう_____
____今になって
____全てが手遅れになった今になって
____何もかも穢れすぎた今になって_____
__________貴女のことが好きだったと
気付きました________
最期に貴女の素敵な笑顔が見れて
僕は幸せです。
神様
最後にステキなプレゼントを
ありがとう
さようなら
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