みんなと生きたい:1 7月24日 朝 ページ14
三回目の朝だった。
腹部の違和感は、いつの間にか無くなっていた。
ただ、残っていたのは…、
加州「主!!もう朝ごはんみんな食べてるよ!!起きて。」
加州がAの布団の右側に座っていた。
そして、Aの右手を握ってくれていた。
A「あ、あの右手…。」
加州「ずっと、主うなされてたよ。苦しそうだったから手を握ってたよ。痛かった?」
A「加州はもう食べたの?」
加州「?主が起きるまで、俺は待っているって、初期刀になったとき約束したから。」
そうだった。そんな、約束いつの間にしていたんだっけ。
ふと、壁掛け時計を見ると9時を指していた。
一時間、ずっと待っていたんだ。
Aが忘れるくらい小さな約束だったかもしれない。
でも、今のAにとっては誰もが自分を信頼せずに、遂には周りの人たちは暗殺計画まで企ててしまう環境の中、
Aをずっと待っている人がいる。
こうやって傍にいてくれる人がいる。
手を握ってくれる人がいる。
2回目で意識を失ったとき、周りに助けようとした人たちもいる。
涙を流しているAを心配してくれた人たちもいる。
ああ、そうだ。私はまだ、生きてもいいんじゃないかな。
そう思うと、Aには冷たい何かが一つ、目から頬へと伝わり、それは次々とAの左手でぬぐいきれないほど流していた。
加州「!?どうしたの主!?怖い夢でも見てたの?」
加州はAにハンカチを差し出してくれた。
加州「ほら、涙拭きなよ。」
どうして、こんなに優しくしてくれるのだろう。その優しさに気づけなかったことを強く後悔した。
ハンカチを受け取り、
A「私は…!!気づけなかった…!ずっと逃げていたんだ。ずっと、ずっと…!!一緒に戦うことが怖かった!!」
泣き顔をハンカチで覆う。
加州はそれをただ聞いていた。
A「もう、逃げたくない。私はまだ生きていたいの!みんなと一緒に!!前を向いて、戦いたい!!!!」
顔面くしゃくしゃになっているだろうと思いつつ、Aは必死に自分の想いを声が枯れるくらい精一杯吐き出した。嗚咽がまじりながらのAの想いは、こっそり部屋の外で様子を伺う刀剣男子にも届いていた。
A「私は!みんなと生きていきたい!!!」
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作者名:しぐれん | 作成日時:2016年7月15日 20時