紛れ物:4 ? ページ10
また、真っ赤な空間だった。
血まみれの腕も襲ってこなかったが、耳に激痛が走る。
『あの主は私たちを物として扱っているのでは?』
『自分の事ばかり優先して他人は関係なさそうにしているのではないか。』
『どうせ、私たちがいなくてもいいと思っている。』
『あんな奴ななんていなくてもいいんじゃないか。』
『無能に等しい。』
次々とAに対する悪口だった。
本当は、全部聞いたことがあった。
全部知っていた。
そうだ、私は刀剣男子のことを人として扱ったのだろうか。
さっきだって、鶴丸には『刀剣』として、と言ってしまった。今いるのは、『刀剣』ではない『刀剣男子』なのに。
一番わかっていたはずなのに。
あの時、選択を間違えてしまった。
審神者失格だ。
何であの時言えなかったの?照れ隠し?嘘?
本音は鶴丸がいっていた求めていた答えなのかもしれなかったのに。
何してんだ、私。
Aに対する悪口はどんどん、強くなっていく。
いっそのこと耳を切り落としてくれればいいのに。
すると、一つの声が聞こえ始める。
『じゃあ、主に聞けばいいんじゃない?』
加州の声だった。
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作者名:しぐれん | 作成日時:2016年7月15日 20時