一番.2 ページ23
「おい」
それは、イキリ世一特有の、ドスのきいた声だった。
後ろから見ていても、プレッシャーで押し潰されそうで、思わず目を背ける。
「は、え」
話していた二人が、ようやく気づき、一瞬で怯えた目に変わった。
顔は見えないけど、多分、あの"目"で、あの人たちを睨んでいるのが伝わる。
「俺は、ブルーロックでも、Aの中でも一番になる。サッカーもAも、一切妥協しねえ。」
空気が、震えた。
「すっこんでろ、ヘタクソども」
目が離せなかった。鍛えられたたくましい背中に、目が吸い付けられる。
「あと、ただの僻みだろうけど、それ、俺のAが傷つくから、二度と言うなよ」
俺の、をわざわざつけるところに、イキリ世一だなあ、なんて思う。
食堂に沈黙が流れる。私は、ただひたすらに世一くんを見つめていた。
「潔かっこい〜!」
沈黙を破ったのは、さっきまでの眠気はどこに行ったのか、楽しそうな蜂楽くんだった。
その声を合図に、千切くんや國神くんたちも囃し立てる。
「言ってくれるなあエゴイスト!よっ!」
「かっこいいなお前…!」
我に返ったのか、世一くんがほんとに恥ずかしそうに、「やめろお前ら!!!」と怒鳴る。
さっきの二人は、気まずそうに食堂を出ていった。
かっこよかった。自分への僻みを、あんなふうに返せることが。一番になると言ったことが。まだ、心臓がドキドキしてる。
「ごめん、A…!恥ずかし……」
蹲る世一くんを見て、一気に気が緩み、私も声を漏らしながら、蹲った。
「反則……あれはずるいよ、惚れるって……」
「惚れ、えっ!?」
國神くんたちが囃し立てるのを、辞めろ!と一蹴して、私と向き合ってくれる。
「でも、ほんとだから。世界一のストライカーになるのも、Aの一番になるのも、俺だから。」
ほんとに、なんてこの男はズルいんだろう。
「覚悟しとけよ?」
一番の予約は、世一くんで決まりみたいです。
―後日談―
千切「あれは惚れた」
國神「あんなこと言うやつ始めてみた。めっちゃかっこよかった」
蜂楽「さすが潔!」
潔「やめろ忘れてくれ!!!」
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ひよいち福(プロフ) - 桜 花芽根さん» わ、コメントありがとうございます!!そのギャップいいですよね~! (2023年1月8日 10時) (レス) id: a715ec8b04 (このIDを非表示/違反報告)
桜 花芽根 - 世一くんカッコいいし、可愛い…! (2023年1月7日 23時) (レス) @page9 id: 6a7e843e24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよいち福 | 作成日時:2022年12月24日 20時