【夢ルーロック】世界一のストライカーの彼との日常が幸せすぎる件。【潔世一】

呼び方.2 ページ3

「A!」

「潔さん」


荷物を運んでいると、潔さんが声をかけてきた。こんばんは、と会釈をすると、潔さんも軽く会釈をする。


「どうしたんですか?」

声をかけられたはいいものの、何も言わない潔さんに痺れを切らして、自分から聞いてみた。

それにしても、まだお風呂に入っていないのだろうか。洗剤の匂いがしない。
そんなことを考えていると、やっと潔さんが口を開いた。


「えっと…」

しかし、また言葉に詰まる潔さんを見て、流石におかしいと私の勘が言った。
言いにくい事?なんだろう、なにかしちゃったかな。とぐるぐる考えていると、向こうの角から様子を覗うチームZの皆と目があった。



……なぜ??気まずそうに目をそらす千切さん達を見て、頭が？マークでいっぱいになる。


「A、俺のこと"潔さん"って呼んでるだろ？」

「えっあ、はいっ」

気を取られていると、潔さんが喋り始めた。


「でもさ、あの、俺ら一応、彼氏彼女だし……下の名前で呼んでほしいかな、って」


そこまで言って、上目遣いでだめかな…と言う潔さんを見て、一瞬思考が停止した。
いや、してないけど、そんな感じ。

"下の名前で呼んでほしい""彼氏彼女だし"

潔さんの言葉を繰り返し脳内で流して、ようやく、スッと意味が入ってきた。

今、多分、自分の顔真っ赤だ。顔だって歪んでる気がする。
だって、潔さんが変な顔してるもん。


怒ってるんじゃない。嫌なんじゃない。むしろ、いま全人類に叫びたいほど嬉しい。
うちの彼氏こんなこと言うんだぞって。最高だぞって。


でも、そのまま言えるわけないから、なんて表そうか迷ってしまう。

「こちらこそ、よびたい、です」

精一杯、気持ちをシンプルに伝えると、一瞬で潔さんの顔がほころんだ。

「良かった…!!」

よっしゃ、とガッツポーズをする潔さんを見て、小恥ずかしい気持ちと、今まで潔さん呼び嫌だったのかなという申し訳ない気持ちが入り交ざる。

「じゃあ、"世一くん"でもいいですか…!」


流石に呼び捨てはハードルが高い。くん付けなら、と提案した。

世一くん呼びをすると、潔さん＿＿いや、世一くんの顔が真っ赤に染まった。

「うん、ありがとう……」

ふたりとも顔を真っ赤にして黙っている光景は、傍からみれば謎だ。


「よくやった潔ー!!」

不意に響いた声の主は、影から見ていたチームZの皆だった。すっかり忘れていた。


でも、皆にもまれる世一くんは嬉しそうで、幸せだな、なんて。

２.君の手→←１.呼び方

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