検索窓
今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:21,459 hit

10.巡り合せ ページ20

10.巡り合せ


「あ、もう来てたんだ。早いな」

俺が遅いのかなって笑いながら、私の隣の席に座る。

私も笑って、時計に視線を送る。


「いや、ふたりとも早いよ。まだ10分あるよ」


「おわ、まじだ…!10分前行動とか初めてかも」



今日は勉強をしに来た。
世一くんは二年、私は一年で、学年は違うけど、もうちょっとでテストってことで勉強会を開くことにした。
互いの家は都合が悪かったから、近くの図書館で。

図書館には、ちらほら人がいる程度で、ほとんどがら空きだった。


「じゃあ、始めるか」

「うん」



何か喋りながらするわけでもなく、ふたりとも集中して各自の勉強に取り組む。


たまに頭をかいたり、唸っている世一くんに笑って、私も苦手なところを復習していた。


数十分くらい経った頃、世一くんが手を止めた。


「なあ、Aって頭いいよな?」

「え?あぁ、まあ悪くはないかな…?」

「だよなあ……彼女より頭悪い彼氏ってやばい…?」


世一くんは頭を抱えて、顔を青くする。


「そんなことないよ。頭が良い悪いが基準じゃないしね」


私も手を止めて、世一くんの方に顔を向ける。すると、世一くんは頬を膨らませて、拗ねた子供のようになった。


「そうだけど……やっぱ、彼女よりデキる彼氏でいたいじゃん」


つい、笑ってしまう。それに世一くんが声を上げたから、図書館員さんに注意されてしまった。

謝ってから、声を落として、また喋りだす。


「Aが同い年だったら、教えてもらえてたのになあ」

「教えてもらうのはいいんだ?」

「あっ、うーん……」


おちょくるようにつつくと、真剣な顔をして考え込んでいる。それが可愛くて、また笑みがこぼれた。

私は、私よりデキてなくても、世一くんならなんでも好きなんだけどな。
もちろん、そんなことは言えないから、黙っておく。


「私も、世一くんと同い年だったら良かったな。そしたら、色々話せるし、テストの点数とか見れるしね」


最後にからかうと、世一くんはふりで怒って、「そうだなあ」とこぼした。

巡り合せ.2→←バレンタインデー.2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
109人がお気に入り
設定タグ:ブルーロック , 夢ルーロック , 潔世一   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひよいち福(プロフ) - 桜 花芽根さん» わ、コメントありがとうございます!!そのギャップいいですよね~! (2023年1月8日 10時) (レス) id: a715ec8b04 (このIDを非表示/違反報告)
桜 花芽根 - 世一くんカッコいいし、可愛い…! (2023年1月7日 23時) (レス) @page9 id: 6a7e843e24 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひよいち福 | 作成日時:2022年12月24日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。