空と緑とホトトギス (ページ6)

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部活見学。

入ると言ってしまったので園芸部に行ってみる。

温室の前って言ってたけど…

なんで誰もおらんの。

5分ほど待つと、ようやく人が来た。

大橋先生。

大橋「おー！ほんまに来てくれたやん！！」

「まぁ、一応…。ていうか、私園芸部入るなんて言いましたっけ？」

大橋「高橋は言うてへんけど、高橋の兄ちゃんが言っててん」

「え？」

私の兄は3月にこの高校を卒業したばかり。

大橋先生はこの学校に来て2年目らしいので関わりがあっても不思議ではない。

大橋「園芸部な、去年は3年の男子1人しかおらんくてさ。次の1年生入ってこんかったら廃部って言われててん。そしたら高橋の兄ちゃんが『うちの妹が入りますよー』って。」

そんなこと一言も言った覚えはないが。

「そうなんですか、」

大橋「でも聞いてなかったんやな笑あいつらしいわ」

「そういうところ昔からあります、うちの兄は。」

大橋「やんなぁ笑」

「やからさ、入りたくないんやったら全然ええんやで？」

「でも廃部になるって、」

大橋「ええねんええねん、俺が勝手に育てればええ話やし！」

「1回きりの高校生活なんやし、高橋がやりたいことやったらええねん」

「私は、」

園芸なんて、やったことがない。

虫は苦手だし、暑いのも苦手。

だけど私、

やっぱりこの人を悲しませられない。

どうせ暇だし。

…ちょっとだけ、大橋先生のこと知りたいし。

「入ります、」

大橋「え？」

「入ります。園芸部、入ります！」

大橋先生は一瞬ぽかんとしたあと、キラキラした笑顔になって言った。

大橋「ほんまに？！！ありがとう！！！！」

大橋「よろしくな、高橋！」

ちょっとだけ、自分を変えられるような気がした。