ほくほくほくと。 (ページ6)

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Hokuto_side

耳が聞こえなくなった日、すぐに病院に向かった。

" 突発性難聴 " とやらになってしまったらしい。

ドラマとかでしか聞かないセリフに、自分でもびっくりしてる。

まさか、自分がなるなんて思ってもいなかったから。

病院を出て、ふたりでゆっくり歩き始める。

横の慎太郎を見ると、何処か不安な顔をしていた。

俺が慎太郎に迷惑かけてるのかもしれない。

そう思ってしまって、自然と顔が曇る。

そんな俺を見て、手を繋いできた。

吃驚して顔を上げると、なにやらスマホを触りだした。

何だろう、と思ってじーっと見つめてたら、画面を見せてきた。

『どんな北斗も大好きだよ。俺らふたりなら大丈夫だからね！絶対見捨てたりしないから』

そう書かれていた。

慎太郎の顔を覗き込むと、微笑んでいた。

慎太郎は魔法が使えるんだろうか。

俺を安心させる魔法が。

スマホと慎太郎の顔を交互に見てると、少し照れて

慎「明日ほちょーき買いに行こうね」

と大きく口パクしてくれた。

うん、と力強く頷くと、俺の1歩前を歩き始めた。

やっぱ、慎太郎って格好いいんだな。

って改めて気づけた日だった。

慎太郎さえいれば、俺から音の記憶が消えたって別に構わないよ。

〜