す の − ま ん 。 ((出会い))

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周りから悪く言われたくないってだけじゃなくて
もう1つ、俺にはAと仲良くできない理由があった。









『あいつさ、女ってだけで前で踊れるからいいよな』









『まじ迷惑だわ。』









亮平｢………。｣









違う。女だからじゃない。
そう言いたいのに、怖くて言えなくて。


Aが前で踊ってるのは、女だからってだけじゃなくて
しっかり努力してるからだってこと、俺は知ってて。


だから、仲良くできなかった。


女だからってだけなら、俺も文句言えたのに。









辰哉｢A、ちゃんと寝てる？｣









｢え？うん、寝てるよ？｣









辰哉｢クマ、最近酷いよ？｣









誰よりも努力して、実力があるAに嫉妬してた。

努力しても、前にいけない俺。
違う。全然足りてなかったから。俺の努力なんて。

だから悔しくて、話しかけられなかった。
仲良くしたいのに、変なプライドが邪魔をして仲良くできなかった。









｢……あ、｣









亮平｢……何時からいるの？｣









ある日、どうしてもできないフリがあって早い時間にリハ場に行ったらAがいて。
集合時間の4時間も前だよ？

でも、こうやってAが朝早くから練習をしてたのを知ったのはもっと前。

鏡の前で楽しそうに踊ってる女の子がいて。
あ、この子が事務所に入った女の子だ。ってそう思った。

この時話しかければよかったのに、Aのダンスに見惚れて話しかけられなかったんだよね。


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