まいぶらざー。 83 ページ38
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侑李「…知ってる、」
「え?」
侑李「全部知ってた。」
「…どういうこと?」
ゆっくり前後に揺れてた隣のブランコは、
急にピタッと動きが止まって。
侑李「大貴が、あの女の先輩に脅されてたことも。
それで大貴がAを振ったことも。
大貴が何のためにあれだけ勉強をして、誰のことを思ってるのかも。」
またゆっくり、前後に揺れ始めた。
「……どうして、」
侑李「僕も知ってて言わなかった。
だからさ、お互い様だね。」
ははっ、って悲しく笑う侑李。
侑李「僕だって、ずっとAのことが好きだったの。
やっと巡ってきたチャンス。もう逃したくないって思った。
でも、やっぱりどこかでAは大貴のことを思ってて、大貴もAのことを思ってる。」
優しい口調で、
ゆっくりゆっくり言葉を選びながら私に話してくれる侑李。
侑李「だからさ、僕聞いたの。
Aのこと好きなら、どうして幸せにしてやんないの、って。
そしたらさ、大貴……何て言ったと思う?」
「え?……分かんない、」
侑李「幸せにするために今は離れてんの。って。
だから、今は知念がそばにいてあげてほしい。って」
「っ、……」
侑李「でも今、Aは大貴に会いたいんでしょ?」
やっと落ち着いた涙が、
またどんどん溢れ出して止まんなくて。
ぽたぽたと、制服のスカートに染みをつくる。
侑李「ほら、行きなよ。
きっと大貴もA不足でおかしくなってるから。」
「っ、…ありがと」
侑李「っ、…ん。」
優しく侑李に背中を押され、
家までの道、数十メートルを全力で走る。
ごめんね。
ありがとう、侑李。
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おむきんぐ。(プロフ) - みーちゃんさん» それはよかったです! (2019年5月5日 21時) (レス) id: 49664135d2 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - 謝らないで下さい!本当にいい話で興奮しまくりです(笑) (2019年5月5日 18時) (レス) id: 0621af8c87 (このIDを非表示/違反報告)
おむきんぐ。(プロフ) - みーちゃんさん» 何かすみません(笑)ありがとうございます! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 49664135d2 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - おむきんぐさん。いや、おむきんぐ様。貴方は私をキュン死にさせるつもりでか?(笑)いや、させるつもりですね。発狂しながら読んでます(笑)続きも楽しみです! (2019年5月4日 19時) (レス) id: 0621af8c87 (このIDを非表示/違反報告)
おむきんぐ。(プロフ) - みーちゃんさん» ドキドキしちゃってください(笑) (2019年4月28日 23時) (レス) id: 49664135d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむきんぐ。 | 作成日時:2019年1月27日 17時