14.忘れよう ページ14
｢｢Aちゃん！｣｣
安心する、優しい声。
振り向くとそこには
｢大ちゃん｣
そう、笑顔で私の元に走ってくる大ちゃんがいた。
｢そんなに走ってどうしたの？｣
大貴｢いや...もう帰るの？｣
｢うん...帰るけど、どうした？｣
大貴｢いや...その...一緒に帰りたいなー…って｣
｢...いいよ｣
大貴｢うわっ！まじ？やった！｣
分かりやすく喜んでる大ちゃんを見てたら、自分も何か嬉しくなってきちゃって。
｢ふふふっ笑笑｣
自然と笑いが込み上げてくる。
大貴｢なっ、何笑ってんだよ！｣
｢ごめんごめん笑笑｣
そんな大ちゃんが可愛くて、大学の最寄り駅から自分の家の最寄り駅までは約30分くらい。
その間、たくさん大ちゃんのこと聞いて、私のことも話した。
大ちゃんの家は、自分の家より一駅先にあること。
裕翔とは最近仲良くなったこと。
家族のこと。
それから
大貴｢あの時は、ほんとにごめん｣
｢...うん｣
大貴｢知念とは、高校の時から塾で一緒で仲良くて...｣
｢...もう、大丈夫｣
大貴｢え？｣
｢もう、大丈夫だから。だから、あのことは忘れよう？｣
大貴｢っ...でも！｣
｢だって、せっかく仲良くなれたのに、気まずくなっちゃう...｣
大貴｢...そっか、そうだよな｣
｢あ！好きな食べ物は？｣
大貴｢へ？...うーん、ちっちゃいウィンナー入りのオムライス！でも、結局ちっちゃいウィンナーが好きなのかもしんない笑笑｣
｢え？何それ笑笑｣
大貴｢うーん、どっちも好き！オムライスも、ちっちゃいウィンナーも！笑笑｣
他愛もない話で盛り上がって、帰り道の30分はすごく短く感じた。
｢じゃあ、またね！大ちゃん｣
大貴｢うん、またね！Aちゃん｣
ぷしゅーっ
電車が見えなくなるまで私は見送った。
さっきの会話を思い出す。
"あの日のあの行為"は忘れるのが1番いい。
そう。そうするしかない。
忘れよう。きっと大丈夫。
『A』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おむきんぐ。
| 作成日時：2018年2月18日 8時
