… ページ15
どぼぉんっ!!
真夏といえど、夜の海は冷たかった
ぷはっと水面から顔を上げ息をする
が、鼻から入った海水が口と鼻の奥を突き刺し、咳き込んでしまう
抱えているボスも、小さく咳をしている
な「ジェル君、大丈夫!?」
頭上4〜5mの崖の上から、なーくんが叫ぶ
『なーくん!遠井さんに連絡頼む!それと、船も!』
な「うん!!」
なーくんの姿が見えなくなった
俺は立ち泳ぎで足場を探し出し、一息ついた
すると、咳き込んでいたボスが弱々しい声でこう聞いた
撫「どうして…助けたの…?」
『それは・・・・・』
俺はほんの一拍だけ置いて言った
『あんたを信じてくれている人がいるからや。あんたが死んだら、また彼女らは絶望してしまうやろ?』
撫「…」
俺の言葉に、ボスは艶っぽい目を少しだけ大きくし、そして、混じりっ気のない澄んだ涙を一雫零し、そのまぶたを閉じた
『じいちゃん…。俺ちゃんと、人の事守れたよ・・・・・』
あのクラスメートが転校して行って1ヶ月程経ったある日、俺はじいちゃんと剣術の実戦をしていた
しかし、普段なら読み切れる動きも、その時はなぜか全く読めなかった
そんな俺を見て、じいちゃんは言った
じいちゃん『どうした?動きが鈍くなっとるやないか』
『…ごめん・・・・・』
じいちゃん『…あのな、ジェル。儂はお前のような孫を持てて幸せやで』
『え…?何、急に・・・・・』
じいちゃん『お前、まだあのクラスメートの事考えてるんやろ?どうしてるかーとか、何であんな事したんやろーとか』
図星だった
何も言えず、俺はただじいちゃんを見ていた
じいちゃん『それは、
お前の
『…!』
じいちゃん『人の事を信じ、人を思いやり、それを寛容な心で受け入れる。忍者としても人としても、正しい心構えや。お前はそれが昔っから備わっとる』
俺の中で、何かが灯ったような気がした
じいちゃんは俺の頭をポンッと軽く叩き、こう続けた
じいちゃん『その心をずっと持つんや。そして、その優しさは、いつか人を守る時に使え。…大丈夫や。お前は出来た子やで。ジェル。せやから、きっとできる』
「期待しとるで」と言ってじいちゃんは高らかに笑った
天を仰いで、俺は静かに満月に微笑んだ
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当(プロフ) - 朱音@とれめいさん» ありがとう〜(*^-^*)最高の3章になるよう頑張るぞーー!!!😆 (2022年10月19日 16時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
朱音@とれめい - 2章完結おめでとう!今回もめちゃめちゃ感動するお話がいくつも、、、やっぱ神作だわ第3章も自分のペースで頑張って!! (2022年10月19日 7時) (レス) @page47 id: 8235c84220 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当(プロフ) - ひめちさん» ひめち様、ありがとうございます!第3章も頑張ります!(*^-^*) (2022年10月16日 19時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ひめち - お疲れ様でした!!もう第二章は感動回多くて…本っっ当に最高でした!忙しい中、投稿ありがとうございました!大好きなAnother strawberryシリーズ第三章も楽しみに待ってます!完結おめでとうございます!これからも頑張ってください! (2022年10月15日 16時) (レス) id: 1325c4d31d (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子@ミスキャト黄色担当(プロフ) - 朱音@とれめいさん» ありがと〜(*^-^*)マジでそこは自分で「あっ神だわ」ってなったんよねw感動してくれて感謝!! (2022年10月8日 12時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ