第14話 ページ17
福沢が見ると、少年と秘書はまだ入口近くで
押し問答している。助け舟のひとつも
出してやりたいが、福沢がいるのは
入口から離れた隣室側のドアである。
書類に阻まれて、進めないので
黙って見守るしかない。
「はあー、こんなに散らかしちゃって。
いくら部屋を調べられたくないからって...
ほんと大人って不可解だよ。世の中は
不可解に満ちている! 」
「い...意味不明なことを云わないで下さい!」
秘書は裏返った声で叫んだ。
その時福沢はおや、と思った。
顔色の悪い秘書の表情に、僅かに
狼狽の色が見て取れたからだ。
「君がここに来た理由は判りました」
と秘書は続けた。
「然し、我社はそんな場合ではありません!
社長が殺し屋の凶手に斃れたのです。
したがって面接は中止。私は被疑者引き渡しの
時間、所謂ヨンパチまでにこの書類の
欠如を発見し当局に報告せねばならないのです。
さあ、一刻も早くお引き取り下さい。
さあ、さあ」
「だからそれは知ってるったら」
少年は唇をとがらせる。
「見たら判ることをどうして一々云うかな?
僕が来たのは面接の活動認定書を貰う為だよ。
判ってるでしょ?」
「活動認定書――ああ、就職の活動を
認定する政府発行の認定書ですか」
と秘書は云った。
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時