天衣無縫・雪の夜

第42話 ページ50

殺される側である登場人物たちには、



それが天使による虐殺なのか



そうでないのかが判断できない。


なぜなら殺害はナイフ、落下死




扼殺、毒殺ーーごく普通の手法で



行われるからだ。そして誰も



殺害の瞬間を見ていない。



一人ずつ殺されていく。



だから登場人物たちは、




それが天使の手による超自然的な



粛清なのか、人間の手による



連続殺人事件なのかが判らない。



登場人物の一人が云う。



もし人間の仕業なら、この中の誰かが



犯人ということになる。



だがそんなことはありえない。



仲間を殺す理由が我々にはない。



だが天使にはある。



だが裏を返せば、我々は天使に背いた



罪人であり、天使に対する



恐怖によって繋がった



ある種の共同体だ



逃亡者の盟友である仲間を殺して



何になるというのだ。



主役である村上青年は、



十二人をまとめるリーダーのような



存在だ。村上青年が舞台上で



叫ぶ。神よ、我々は罪を犯した。



貴方はその罰として我々から



翼をもぎ取り、この地上へと



堕とした。それで罪は



贖われたのではないのか。



何故その上にこのような



残酷な所業を為すのか。



人間に憧れ、彼らとの



共存を求めたため神の逆鱗に触れ


天使の力を奪われたただの人間として



地上に堕とされた

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