第9話 ページ12
「――何をしている?」
福沢は思わず最初にそう訊ねてしまった。
「書類をね、整理しているんです」
顔色の悪い秘書はそう答えた。
「ここにある書類は私しか
把握していませんから」
それが説明なのだとしたら、
かなり不親切な説明だ。
福沢には何のことやら判らなかった。
判らなかったが、業務に関する何かだろうと
福沢は思った。主君たる女社長が殺害された
その日に書類業務というのが不敬なのか
勤労なのか福沢には判断しかねたが、
兎角凶事の直後だと云うことを
福沢は思い出した。
「お悔やみ申し上げる」
福沢は頭を下げた。
「惜しい人を亡くした。......ここの窓から
突き落とされたと聞いたが」
社長室にある窓からは横浜の街並みが見えた。
社長が落とされたという幅広の窓は、
今は閉じられている。
「職業的暗殺者です。」
秘書は暗い顔をいっそう暗くさせた。
「全く会社には痛恨の極みです。個人的も、
社長は前職にあった私を引き抜いて下さり
ここまで育てて頂いた師であり主君のような
者でしたから。凶行の真相を暴き、正義を
白日の元にさらすことが何よりの餞と考えて
います。」
秘書は視線で隣の部屋の方を示した。
「殺し屋は既に捕えれれています。社長を
殺害後逃亡時に1階の警備員に取り押さえ
られました。現在は隣室に捕縛しております。
鑑識に人相を送りましたところ、社長の
服の背中から検出された十本の指紋は
管理記録上、犯人のものと同じだったそうです」
「何だと?」
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時