悪者少女【ハイキュー】 (ページ1)

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貴方side

『ビッチ』『尻軽女』『冷血』『誰とでも寝る』

ここ青葉城西に入学して相も変わらずそう囁かれる

口にする奴らに見覚えはないし話しかけられたことなんて一度もない

奴らの声なんて雑音にすぎない、車道を走る車となんら変わらないんだ

そう考えながら過ごす日々

さすがの『冷血』とささやかれるわたしでも疲れる

不意にぽんっと背中を押される

『Aちゃん！次科学室って知ってた？』

「うん、知ってるよ」

柊加奈子

この子は中学時代のある事件以来声が出せなくなった

そのために日常的に持ち歩いているスマートフォンで会話を成り立たせている

『早く一緒に行こうよ！』

にこにこと微笑みながら無邪気にスマートフォンの画面をこちらに向けてくる加奈子

しかしその後ろで彼女の友人達が私によくない視線を向けていることに気づいてない

「加奈子から声を奪った張本人のクセに」

「なんで加奈子はあんなやつに話しかけるんだろ」

「優しいからに決まってんじゃん」

聞こえてるし

しかし全部本当のことだから何も言わない

「私今から図書室行かないとだからいいよ。先に行ってて？」

『うんわかった！』

画面を私に見せてぱたぱたと友人達のもとへ向う加奈子を見守った

私と一緒になんかいたら加奈子だって後ろ指を刺される

罪滅ぼしで同じ学校に入学して加奈子が不自由だと感じることを取り除くために着いてきたというのに私はただの足でまといではないか

加奈子の方が自分一人で立っている

「私ってなんだろ」