大王様のお気に入り5th【青葉城西】

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貴方side




京谷さんはさっきからペースを下げることなくずんずん進んでいく




「えっと、あのどこに、」




行くんですかと聞こうとしたら急に止まって京谷さんの背中に鼻を打った




「ここだ。」




京谷さんが止まった場所を見てみると『2−1
ハンドメイド』と可愛らしい看板が立っている教室だった




そこに来てさらに疑問が浮かび上がる




何で私を連れて来たのだろうか
↓
男一人で入るのが嫌だから？
↓
京谷さんってこんな趣味が…！




「行くぞ。」




また手を引かれるままにその店に入っていった








店の中には女の子なら誰しも喜ぶアクセサリーやストラップなど綺麗な物ばかりが並んでいた




「選べ。」




「え？」




「どれがいい。」




そう言われてやっと主旨がわかった




この可愛らしいアクセサリーの中で京谷さんに似合う物を探せばいいのか




やっぱり不良さんはネックレスとかつけるのかなと思い、少し大きめの十字架のついたネックレスを選んだ




「これなんかどうですか？」




「それがいいのか。」




そう言った瞬間に私の手からネックレスを取って会計の方に行ってしまった




趣味に合ってよかったと思っていたら会計を終わらせた京谷さんがさっき私が選んだネックレスを差しだした




「借りだ。」




おっしゃっている意味がよくわからない




借りなんて作った覚えがない




「えっと、これ京谷さんのじゃないんですか…？」




「わかった。これは俺が着ける。お前の好みの物を探せ。」




何を考えているのかわからないし、何より表情がとても怖くて『いいえ』なんて言いようがない




あまり時間を取らせるわけもいかないから適当に目の前にあった星柄の月のチャームがついたシュシュに決めた




「それがいいんだな。」




そう言ってまた会計に向かう




戻ってきたらまたさっきのように例の品を差しだした




「お前、あの時白鳥沢に乗り込んできただろ。その時の借りだ。」




やっと理解できた




この人は会長みたいに器用じゃないんだ




「ありがとうございます。大切にしますね。」




そう言うとずっと固かった京谷さんの表情が崩れた気がした






「お？あれ姫ちゃんじゃね？」




ん。
どっかで聞いたことがあるような。




振り返って見てみると、




「お！やっぱりAじゃん！久しぶり。」




いや、誰。
この茶髪七三。

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