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「そんな怖がらんといて、痛いことはなぁんもせぇへんから」
泣きながら抵抗するAに笑いかけたコネシマ。その時、浴室の扉が開いた。
「……いい加減にしろ、お前……!!!!」
そこには怒りに顔を染めるトントンの姿が。トントンはコネシマの髪を掴むと浴室から引っ張り出した。
「いてて……怒んなや〜！」
「ふざけるのも大概にせぇよ。可哀想やろ。ただでさえ知らん世界に一人ぼっちなんやぞ。Aは。その先で男に狙われて、安息を得られる場所は無い。俺ら幹部が、守ったらなアカンやろ！」
「20年以上、この世界ではこれが常識やったやん。保護センター外に居る女は、いつ襲ってもええって。今更襲うなって言われたって、そんなん無理や！本能やもん」
「その本能を、理性で抑えられへんカスは、この国の幹部を務める資格なんかあらへん。負けんなや、本能に」
「……偽善者ぶりやがって。お前だって、頭ん中で滅茶苦茶にしとるんやろ？Aの事」
「……違う。してへん」
「顔は嘘をつけへんぞ」
浴室の外で言い合いをしていた声が止んだ。自分がこの世界に来たから、皆の仲を乱してしまっている。それが辛くて仕方がない。泣きたくなる。
異世界人として、何も出来ない事が情けなくて悔しくて。素っ裸でしゃがみこんで泣いていると、ギシッと言う音がした。驚いて顔をあげると、トントンらしき人影がくもりガラス越しに見えた。彼は扉の前に座り込むと、扉に寄りかかってあぐらをかいている。
「俺が、ここで見張っとくから。安心して風呂入れ」
「……ごめんなさい。私のせいで、皆さんの仲が悪くなってしまって。気を遣わせてしまって。居候のくせに、守られてるだけで。本当にごめんなさい」
謝っているうちにどんどんと悲しくなってきて、声が掠れる。
「大丈夫。Aのせいちゃうで。ずっとこの世界に居ってもええんやぞ」
「いえ、いずれ帰ってみせます。その前に恩返しができるといいんですけどね」
ふふっ、と笑うA。ボタンを押すと、シャワーが出てくる。ジャーという水音が浴室に響く。
「帰らんといて。それが、恩返しやから」
「トントンさん、何か言いました？ごめんなさい、シャワーの音で聞こえなくて」
少し大きめの声が聞こえてくる。トントンは1度自分の頬を殴ったあと、首を振った。
「なんでもないで。出る時言うてな。外出るから」
「はい。本当、トントンさんのおかげで生きてるようなものですよ〜。ありがとうございます」
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かす(プロフ) - かこつです。楽しませていただきました。ありがとうございます (7月17日 19時) (
レス) @page48 id: b1482de086 (このIDを非表示/違反報告)
らあゆ(プロフ) - ありがとう……ありがとう……ほんまにありがとう…一気読み最高でした( ；∀；)夢主可愛すぎるだろ…ありがとう(*´；ェ；｀*) (2023年3月21日 8時) (レス) @page47 id: 61afbf51de (このIDを非表示/違反報告)
♪si?do☆(プロフ) - とっても面白かったです！また面白い作品書いてください！ (2023年1月6日 16時) (レス) id: 89c26ef77d (このIDを非表示/違反報告)
ヒル(プロフ) - 新しい番外編...？好き。夢主の平和ボケっぽいのがずっと抜けない感じ好き。もう、語彙力喪失。ありがとうございますほんとに番外編感謝します...！ (2022年12月21日 23時) (レス) @page43 id: e3196d1b3b (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 完結おめでとうございます！番外編が好きすぎる…。いつも更新されるたびにわくわくして読ませていただいておりました。本当に素敵な作品をありがとうございました！ (2022年12月16日 0時) (レス) @page41 id: 472937dc0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2022年11月23日 16時
