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「そういえば、今桜の開花時期らしいですよ。お花見、行きたいですねぇ」
正確に言えば、桜よりも花見の食事が食べたいだけだ。鬱先生への怒りに心を燃やしていたトントンは、Aの話を聞くなり、組員を呼びつけた。トントンに呼ばれた組員は、襖の前で片膝をつき、頭を下げて何を言われるのかと少し怯えていた。
「俺の可愛い妻が、花見をしたいらしい。今すぐ調べて準備しろ。そうやなぁ……30分やるわ」
「はい！奥方、いいものお見せしますんで!!」
ニカッと爽やかな笑みを見せる組員を殺す勢いで睨みつけたトントンは、はよ下がれ。と低い声で呟いた。
「もう、トントンさん。もう少し優しくしてあげてくださいよ」
「……ごめん。だって、アイツらがAに媚び売るようなことしよるから」
Aに怒られて、少ししょげながらトントンがブツブツと言う。困ったように眉を八の字にして、Aはトントンの手を引いた。
「折角のお花見ですし、着飾って行きましょうよ」
「せやな。Aのためにええ服買ってん。着てくれるか？」
「勿論です」
柔らかく笑ったAを見て、トントンは心臓を押さえてしゃがみこむ。
「俺の妻が今日も世界で1番可愛ええ」
「……もう」
そんなバカップルのような会話をしながら身支度を済ませて、部屋を出る。トントンは、赤い着物に、白の羽織を着て。Aは薄い桃色の着物を着て花見に出かけた。
「凄い、可愛い着物ですね。トントンさんが選んでくれたんですか？」
「せやで。Aに似合うと思って、ずっと前に作らせてん」
「んふふ、ありがとうございます」
Aが我々組に住むようになる前からの話だ。つまり、トントンは本気でAと結婚するつもりだった。それは、今も変わらないが。
組を出ると、門の前に黒の高級車が停まっていた。茶色の着物で出迎えたエーミールが、車の扉を開けて待っている。
「トントンさん、Aさん。本日運転を担当します、エーミールです。花見会場まですぐなので、ご安心を。どうぞ」
「エミさんなら安心できるな。A、先乗り」
「はい」
慣れない着物で、少し乗るのに手間取ったが、無事に乗れた。ヒョイっと簡単に乗り込んだトントンは、楽しみだというのを抑えきれない表情で、シートに投げ出されているAの手を握った。
「手ぇ繋ぐだけで恥ずかしいん？それ以上のことしたのに」
「慣れないんですよ……」
そんな会話に、咳払いをしてエーミールは車を発進させた。
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ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です！！ (3月29日 1時) (
レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます！素敵なお話をありがとうございました！！ (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←ｷｯﾓ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月10日 17時
